超乳エイミー・2



作者不詳
笛地静恵・超訳


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5・エアロビクス


 トッドにも、エイミーの巨乳という隆起した台地の上が、柔らかくて暖かい場所であることが、
実感されてきました。 乳首の鋼鉄のような硬度を、両足の間に挟んで感じていました。


 エイミーが、性的な興奮状態にあることは、明らかでした。
乳首の肉の塔の直径は、彼の頭部よりも、わずかに大きいでしょうか。

 痛めた性器には、固すぎました。
が、安心感はありました。 体重を、がっしりと支えてくれていました。

 両足の間に、きつく挟み込むようにしていました。 痛めた股間に、苦痛が甦って来ました。
それでも、命には代えられませんでした。 もう落下は、まっぴらでした。


 
乳房の直径は、明らかに大きすぎました。
両手を回して、抱き締めることも、難しかったのです。


 エイミーにとっても、敏感な器官の上に乗った、ちっぽけな重さが、それだけで、
けっこう刺激的なものであることが、明らかになっていました。

 キッチンの内部を、ぐるぐるとゆっくり歩き回っていました。
動物園の熊になったような気分でした。
トッドが、どのくらいの振動までなら捕まっていられるのか、冷静に観察していました。

「お上手よ。 トッドちゃん。 わかっているのかしら? あなたは、とってもラッキーなのよ。
多くの男たちが、私のそこに触りたくて、うずうずしているんですもの。
あなたは、たった一人で、その場所を独占しているのよ。
もっとも、さきっぽだけ、だけど……」

 エイミーは、自分の言葉がおかしくて、声に出して笑っていました。
胸が大きく揺れていました。
もう片方の自由な半球は、彼という重しがない分、さらに自由奔放に踊り狂っていました。


 彼女が一歩だけ歩いて、足を床に打ち下ろすだけでも、乳房は複雑な動きをしていました。
上下左右に、揺れ動いていました。

 トッドには、ちょっとした乗馬の体験のようになっていました。 コツも掴めていました。
が、エイミーの要求は、これだけではすまなかったのです。


「……これにも、そろそろ飽きて来たわね。……ねえ、もっと激しい運動を、してみない?」

 トッドの心臓が、鼓動を早めていました。
エイミーが、心の中に抱いているプランが分かってきたからです。
同棲していたので、彼女の生活の習慣は、知悉していました。

 女巨人は上半身裸でした。 下半身にジーンズを履いただけの姿です。
キッチンを通過していきました。 リヴィング・ルームに入っていきました。
TVのところに行きました。 上半身を、腰を折るようにして、屈みこんでいました。

 トッドにとっては、しがみついていることが、ひどく困難な態勢になっていました。

 エイミーは、キャビネットの下から、一本のビデオテープを取り出しました。
「これが良いかしら?どう思う?トッド」 

 テープのラベルの方を、見せました。 そこには、『アクション・エアロビクス』とありました。

 孤立無援の男は、これで最後が来たなと考えていました。
自分がエアロビクスの激しい運動の間、エイミーの胸に捕まっていられるはずがないことが、
分かっていました。

 エイミーの胸は、ただ歩いているだけでも、すごい動きなのです。 それが、
エアロビクスのなると、普通のサイズの男として眺めても、大戦闘の戦場のような迫力でした。
コントロール不可能なぐらいに、暴れ回るのです。

 テープが自動で、ビデオに吸い込まれていきました。
がちりと、セットされている音がしました。
TVのスイッチが、付けられていました。 画面がすぐに表れていました。

 トッドは、がっかりしていました。
機械が故障してくれないかと、わずかな希望を抱いていたのです。

 最初は、三人の女が登場していました。揃いのレオタード姿でした。
身体の線があらわに出る黒いボディ・スーツに、上半身は白のクロップ・トップでした。

 ウォーム・アップのために、「ストレッチング・エクササイズ」が始まりました。

 エイミーも、彼女たちの動きに合わせていました。
乳房が、ぼいんぼいんと揺れ初めていました。

 上半身は裸なのです。
下半身のジーンズも、ストレッチ素材としての能力の限界を試されていました。

 その運動を、数分間、継続していました。
谷間のペンダントも、振動に合わせて、振り子のように左右に揺れていました。

 トッドにできるのは、何とか、しがみついていることだけでした。
ウォーム・アップの「ストレッチング・エクササイズ」が終了しました。

 彼がもっとも恐れている、メインの「アクション・エアロビクス」のコースに入っていきました。
映画館のスクリーンのように広大な画面に、文字だけが大きく表示されていました。

 エイミーは、一度だけ、いたずらっぽい光を藍色の瞳に浮かべて、彼を見下ろしていました。
白い歯を見せて、にっこりとしていました。
濡れた額に張りついた金髪を、指先で掻き揚げていました。

 胸の皮膚にも、汗が果実大の玉になって、汗腺からぽつぽつと、滲み出ていました。
トッドの顔は、待ち受ける運命を予想して蒼白になっていました。

 汗で手が滑っていたのです。
彼も、
巨人女の肉体も、今の運動で、ともに汗をかいていました。
トッドの握力にも限界が来ていました。

 ビデオの女たちは、「ジャンピング・ジャック」のパフォーミングを開始していました。
エイミーも、動きに正確に同調していきました。 最初は、ゆっくりと始まりました。

 ガスタンクのような肉球は、以前よりも、さらに華麗に、舞踏するようになっていました。
裸の荒馬の乗り手にとって、次第に限界が、近付いて来ていました。

 徐々に速度を早めていきました。 乳房は、暴力的に動きだしていました。
苛めぬかれた股間に、激痛が走っていました。

 再び、スピードがアップしていました。
乳房は、もう何の遠慮もなく、謀略と暴虐のかぎりを、尽くし初めていました。

 上下左右に動いています。
白いペンダントも、大波に乗った船舶のように、跳ねとばされていました。

 それだけではありません。 
お互いの乳房が、凄い速度でぶつかり始めたのです。
ばいん、ばいん。
これは、トッドの体力が耐えられる限界を、はるかに越える状況でした。

 巨人女の大量の汗が吹き出して、肌の斜面を滝のように流れ下っていました。
ぬるぬるする隆起から、指がついに離れてしまったのです。

 彼のちっぽけな身体は、跳ねとばされていました。 空中を飛翔していました。
くるくると回転していました。 遥かな床面まで、墜落していきました。

 エイミーは、「ジャンピング・ジャック」を止めていました。
実にすばやく、小さなボーイフレンドを、捕まえたのです。
それでも、床上、五センチメートルの位置でした。 ぎりぎりのタイミングだったのです。


 看護婦のように、注意深く診察していました。
胸の谷間に、汗が玉になって滴っていました。

 気を失っていましたが、無傷でした。表面的には、充分に健康に見えていました。

 キッチンに運んでいきました。テーブルの上に置きました。
冷蔵庫のドアを開けると、よく冷えたスポーツドリンクのボトルを取り出しました。

 自分の分として、コップいっぱいになみなみと注ぎました。
トッドには、プール一杯分の水量でした。

 彼の分として、ボトルのキャップに少しだけ入れました。
キャップを持ち上げると、激しい運動に疲れ切った、小さな男の前に置きました。

「飲んでおいた方が良いわよ。
今はまだ、あなたとの関係を、すべて終わりにするつもりはないから……」

 トッドには、自分がここで水を飲むのを許されたことを、感謝すべきなのかどうか、
判断がつきかねていました。
恐怖の復讐計画の連続に、すっかり打ち拉がれた気分になっていたのです。

 しかし、ともあれ、スポーツドリンクは、ありがたく飲み干しました。
喉は激しく乾いていました。
キャップといっても、洗面器で飲んでいるような分量がありました。

 エイミーもコップ二杯を飲み干していました。
巨人女の視線は、彼を冷酷に観察していたのでした。
突き刺すような藍色の視線が、凝視していました。


 タイタン族の女性は、広場のような白い皿の上で、ビルの壁面のような面積のある一枚の
パンを、千切ってくれました。 小さなかけらを取り上げて、彼の前に置きました。

 それは、彼の胴体よりも大きかったのです。
端に歯を当てて、もぐもぐと、噛み切っていきました。


 やがて、彼女が不意に立ち上がりました。 バスルームを使う必要性を、感じたのでした。
トッドを手の中に掴んでいました。 バスルームを開けると、シンクの隣の台の上に置きました。

 エイミーは、ジーンズと小さなパンティを下ろすと、便器にしゃがみこみました。
何のためらいも、はじらいもありませんでした。

 トッドが、そこにいないかのように振る舞っていました。
彼の胴体ぐらいの太さのある水流が、放水されていました。
轟々と音を立てて、滝のように水面に落下していました。

 トッドは、自分が立つ位置から、黄金色の陰毛の中から覗いている性器を、
奥のピンク色の襞まで、覗くことが出来ていました。
エイミーが、何も隠そうとしなかったからです。


 トッドは、どんな暴力的な行動よりも、この態度の方に戦慄していました。
彼女が、自分を人間以下の存在と見做していることが、明らかに分かったからです。

 もし、自分があの裂け目の中に、挿入されるような事態になったら、どうなるのでしょうか。
ありえないことではないと思えました。

 エイミーは、そう望めば、今の彼になんだってできそうでした。 心配になっていました。

 彼の不安は、的中していたのでした。
エイミーの方でも、トッドを一晩中、自分のパンティの中に入れておいたら、
どんな感じがするものなのだろうかと、夢想していたのです。

 しかし、あそこに、彼に必要なだけの酸素の供給があるのかどうか、自信がもてなかったのです。
実行は諦めていました。

「する?」
 彼女は、自分専用の「大人のオモチャ」のような小人に、尋ねていました。

 トッドは、そうしたいと答えていました。 もようしていたのです。 エイミーは立ち上がりました。
パンティとジーパンの位置を戻しました。 その手を、彼の方に延ばして来ました。

 腰の辺りを二本の指で、摘んでいました。
水面近くまで、彼の身体を下げてやりました。

 トッドは、自分が眼下の湖水に落とされて、溺死させられるのではないかと、恐れていました。
何しろ、彼の顔ほどもある泡が浮かんで、すごい勢いで回転していましたから。


「さあ、はやくしなさい。 何をしているの?」
 エイミーの大きな声が、壁に反響していました。

 彼は痛むペニスに手をあてがいました。 両手は、まだ小刻みに震えていました。
エイミーの胸の上の苦闘で、全力を使い果していたのです。 動くだけでも苦痛が伴いました。
 それでも、用を足しおわりました。
エイミーは、再度、犠牲を手のひらの中に、包むようにして持ちなおしました。


 二階のベッドルームに連れていきました。
自分が眠っている間、トッドをどうしようかと思案していました。

 彼の性格からして、彼女からの脱出計画を、考えるに違いありませんでした。
ベッドの引き出しに、入れようかと思いました。

 でも、それでは、
面白くありません。 わざと、自由な場所においておきます。
もし逃げ出そうとしたら、すぐに気が付いて、計画を挫いてやれる場所。
それが最高でした。 それは、どこでしょうか?



6・脱出計画


「さてと、ちっぽけな虫ケラ男君。 一度しか言わないわ。 良く聞くのよ。
私は、今晩だけは、あなたに、私の胸で眠っても良いと、特別に許可することにしたわ。
もし逃げ出そうとしたら、罰を受けることになるから覚悟していなさいね。 わかった?」

 トッドは、了解のしるしに、両手を上げていました。 降参の動作でもありました。

 エイミーは、ジーンズを脱いでパンティ一枚だけの姿で、ベッドに横たわりました。
トッドを握った手を、胸の上に持っていきました。左の乳房の上で、手を開きました。

 トッドは、あたたかくて
柔らかい胸の上に、四、五メートルの距離を、落下していきました。
ぽんと、はずんでいました。 ころころと、胸の谷間に落ちていきました。
少なくとも、重力だけは、以前として彼の物であることが分かりました。

 トッドにとっては、今日は一日中、荒海を漂流して来たような気分でした。
まだ世界がぐらぐらと揺れているような気分でした。
幸い落下にも、何の傷も受けては、いませんでした。

 実際のところ、ここは今までと比較すれば、平穏な場所というべきでしょう。
少なくとも、動いていないのですから。

 皮膚の下の、心臓の鼓動は、規則正しい重厚な生命のリズムを、ゆったりと叩き出していました。
皮膚の感触は滑らかでしたが、固いマットレスの上に乗っているようなものでした。

 それから、エイミーは、彼の頭上に白いペンダントをかざしていたのです。
白い満月のようでした。光が放射して、自分を照らしていました。

 両側のエイミーの乳房が、その高度をぐんぐんと、高くしていきました。
二倍ぐらいにもなったでしょうか。 彼の身長の五、六倍の高さの、
肉の丘になっていました。


「これぐらいで、いいかしら?」
 
途方も無く巨大なエイミーの顔が、彼を見下ろしていたのでした。

 彼は、自分と同じぐらい大きな指先に摘まれていました。
左胸の乳房の頂上に再度、落とされていました。

「トッド、そこにいるのよ! おやすみなさい!」
 エイミーの巨大な金髪の頭部が、トッドの視野にとっての、彼女の胸という肌色の山並みの
彼方に沈んで行きました。 肉の台地が鳴動していました。

 ようやく何をされていたのか、わかりました。
今までの半分にも満たない大きさに縮小されてしまったのです。
逃がさないための用心なのでしょう。 周到な準備でした。

 二センチメートルにも満たないでしょう。
ノーマルな身長の、百分の一ぐらいにされているのです。

 エイミーの身体は、百倍にもなっていました。
もう人間の肉体というよりは、何か生きている自然のような、異様な風景に変化していました。

 
肌色の台地が、生きて起伏していました。
トッドは、自分と同じぐらいに大きな乳首の塔を、両手で抱くようにしていました。
そこから、この小山の全体を、見下ろしていました。 産毛が、金色の草のように生えていました。


 やがて、不意の暗黒が訪れて来ました。
エイミーが、ナイトスタンドのスイッチを消したのでしょう。

 もう一方の、彼方の乳房の山の影を展望していました。
マンモスサイズでも、全体の美しいプロポーションはそのままでした。

 女性らしい曲線が闇のなかに、白々と浮き上がっていました。
深い呼吸に合わせて、緩やかに上下に起伏していました。 彼のいる山と同様でした。

 やがて、エイミーの低音のいびきが聞こえてきました。
危険なものなど何もないと思って、心の底から、安心仕切っている証拠でした、

 トッドも、疲れ切っていました。 けれども、なかなか寝付かれませんでした。
たしかに、逃げ出さないようにという、警告を受けていました。
しかし、暴君の女王の手から、何としても逃げ出さなければなりませんでした。

 乳房の山のふもとに向かって、静かに注意しながら下山していきました。
傾斜は急でした。 途中で足が滑りました。 ころころと転がってしまいました。

 起き上がりました。 周囲を見回しました。
皮膚という台地の表面の下に、固い岩の尾根のような胸の骨を、感じていました。

 そのさらに地下には、生きた内臓が活動をしているのです。
絶え間ない、心臓というポンプの活動を、足の裏に直接に感じていました。

 自分の捕獲者の頭部の方に、視線を向けていました。
顎の下の、白い断崖絶壁しか、見ることは出来ませんでした。
いい気になって寝入っているのです。

 今こそ、チャンスでした。鎖のついたペンダントに、目がいきました。
数メートルの彼方に、夜目にも白い表面を見せていました。

 あれに手を触れることさえできれば、この状況を挽回できると信じて、
今まで耐えに耐えて来たのです。 その計画を、実行に移す時でした。

 トッドには、胸の谷間に着陸した、空飛ぶ円盤のように見えていました。
やや斜めになっていました。 直径で、彼の身長の三倍はあります。

 今、見つかったらという恐怖に、肩を竦めていました。
怪物が、動く兆候はなかったのです。 熟睡していました。

 円盤が、どのようにして作られたものなのかということは、まったく分かりませんでした。
本当に、宇宙人の落とし物でもあるのでしょうか。

 どこにでもある、普通の安物の装身具のひとつにしか、見えなかったのです。 でも、
エイミーが外から帰ってきて、新しく身につけていたものと言えば、確実にこれだけだったのです。

 トッドは、不時着した円盤のような、その物体の傍らに立っていました。
現在のような状況に、最初に陥った時のことを、思い出していました。
あの時に、エイミーの手に握られていたものが、これだったのではないでしょうか。

 ガールフレンドは、さっきの縮小の時も、その指を裏面に触れていました。
まぶしい光の中でも、それだけは分かりました。

 彼は、斜めになっているために出来た隙間に、手を入れてみました。
恐る恐る裏側に手を触れていました。

 電気ショックのようなものでも、あるのではないかと警戒していたのです。
何も起こりませんでした。 固い表面も、指でつんとつついてみました。 何も起こりません。

 それは、不透明の白いガラスのような物質に過ぎませんでした。 安物のがらくたです。

 がっかりしていました。 たぶん、エイミーの指紋などにしか反応しないように、センサーなどの
安全装置が、付いているのでしょう。

 人体の縮小というような、信じられない現象ができるのですから。
高度で、未知なテクノロジーの産物であることは、明らかでした。

 落胆はしていました。
が、何の効果もないことが分かった以上は、この場所に長居は無用でした。

 第二の脱出計画を、実行に移すべきでした。
エイミーの身体から、一刻も早く下山するべきでした。

 エイミーのベッドの端からは、床の上にまで、いつもシーツが垂れていました。
その皺を、山脈の尾根や谷間のようにして、下っていけるでしょう。

 時間はかかるかもしれません。 が、不可能ではないはずでした。
そして、部屋の外に出るのです。
一階のリヴィング・ルームにある電話のところに到達し、警察に助けを呼ぶのです。

 この身体では、何日もかかる旅になるかもしれません。
電話に辿り着いたとして、どのようにボタンを押すのかという問題がありました。
しかし、それは、その時のことです。 乳房の谷間から、出ることにしました。

 今は、何はともあれ、エイミーから一刻も早く離れたかったのです。

 巨大な肉体の上を、とぼとぼと歩いていきました。
百分の一の身体にされているので、たいへんな道中でした。

 痛めた股間も、いつもの二倍に腫れ上がっていました。 太腿の間に感じられました。
激痛が、一歩ごとに甦ってきます。

 しかし、そんなことで、弱音を言っていられる状況ではありませんでした。
命がかかっているのです。

 ようやく胸の間から出ました。 視界が広くなったので、左右を展望していました。
胴体を脇に下りていくと、もう一度、エイミーの腕の山脈に登山して、それから下山するという、
二度の山越えが必要になります。

 腕と身体の谷間にいるときに、エイミーが寝返りを打ったとしたら、もう全一巻の終わりでした。


 このまま直進して、脚の稜線を歩き足首の辺りから、エイミーのベッドの足元に下山する
というのが、トッドには最良のルートに思えました。

 数歩毎に振り向いては、恐怖の女王の安眠を、確認しているのでした。
容易ならざる行軍でした。 この大地は生きているのです。

 エイミーには、ほんのわずかな動きなのです。
それでも、彼は足をとられて、何度も転倒していました。

 人間の身体の上を歩いている蟻は、こんな光景を見ているのでしょう。
眼前には、エイミーの筋肉質の引き締まった、腹部の平原が白々と広がっていました。
腹筋が、なだらかな丘の連続のような起伏を作っていました。

 自分が、この女を愛したことがあるというのが、嘘のようでした。
腹に舌先を這わせてやると、いつもくすぐったそうに、腰を淫らにくねらせるのでした。

 臍は、暗い影を水のように溜めた池のようでした。
トッドの身長よりも大きな穴です。

 トッドの足元では、小腸や大腸が、絶え間なく、食べたものの消化活動を続けていました。
ごろごろ。じゅうじゅう。どろどろ。不安な音が、台地の遥か地下の内部から聞こえていました。
あのビルの壁面のように巨大だった食パン一枚が、どろどろの物体に消化されている光景が、
見えるような気がしました。

 
エイミーの口は、彼などひとのみにできるでしょう。
彼女が、明日になったら何をするつもりなのか、見当もつきませんでした。

 何でもできるのですから。

 何をするはずがないとは、今のトッドには、自信を持って断言することが不可能でした。
エイミーは、彼への復讐として効果的だと判断すれば、どんなことでもする女でした。

 逃げなければなりませんでした。
振り向くと、二つの乳房の、若さのために、円く張り切った山の稜線が、闇の中で上下に
起伏していました。


 エイミーの巨乳は寝ていても、
すごい量感なのです。

 重力に負けずに、夜空に聳えていました。
それに押し潰されそうになった恐怖を思い起していました。足を早めていました。

 前方に、夜目にも白い下着が見えてきました。
白のTバッグです。 エイミーは、身体を締め付けられる衣服が嫌いでした。
下着も最小の面積のデザインを好んでいたのです。

 白いヨットの帆布のような、厚い生地のうえに足を乗せていました。
そこを越えていきました。 太腿の上に出ていました。

 上半身の国と下半身の国の、国境を越えたという感じでした。
エイミーという名前の国の冒険の旅は、当初の予定の半分を、すでにクリアーしていました。
ここまでは、まずまず順調でした。

 股間が濡れていました。 エイミーは彼をいじめながら、相当に感じていたのでしょう。

 内部から浸出している、女のラブ・ジュースの生々しい臭気を嗅いでいました。
割れ目の形に、生地が張りついています。 性器の形をくっきりと刻印していました。

 あの割れ目の内部に挿入されたとしたら、どうなるのでしょうか。
トイレで目撃した、凄まじい光景を思い出していました。 ぶるっと震えていました。


 その時です。
エイミーという台地が鳴動したのでした。 トッドには、大地震でした。
彼女にとっては、ほんのかすかな身動きなのかもしれません。 今、ここで発見されたら……。

 トッドは恐怖に打たれて、上半身の雄大な世界を注視していました。
エイミーの巨大な手が、左の乳房の山脈の向こうから、ぬうっと姿を表していました。

 五本の首を持った、竜の怪物のような怪異な姿でした。 乳首に触れていました。
それは、彼がいるはずの場所でした。 そして、彼の存在がいないことに気が付いたのです。

 左胸全体を、指が捜索するように激しく動き回っていました。
右手の新しい怪物が登場しました。 右の胸を操作していました。
皮膚の上を巨大な物体が擦りながら動く音が、トッドの耳にも聞こえていました。

 彼は、どうすることもできず、その場所に凍り付いたようにして、佇んでいました。
両手は、奴隷の捕獲に失敗していたのです。

 怪獣の咆哮がしました。エイミーがうなり声を上げました。
上半身が生温い風を巻きおこしながら、壮大な動きとともに、ゆっくりと起き上がってくるのでした。
トッドにとっては、百メートル以上の山が、いきなり動きだしたような驚愕の事態でした。

「トッド、どこにいるの?」
 耳を劈くような大音声でした。

 トッドは、両方の耳を、両手で固くふさいでいました。
エイミーの美しい顔が、
乳房山脈の向こうから、山の端の月のように昇って来ました。

 女巨人の瞳が、爛々と光っているのが、見えたような気がしました。
怒りの炎が、燃えているのでしょう。

 下半身にいるトッドも、激震に襲われたようなものでした。 足を掬われていました。
彼は、数十メートル下の、暗い両の太腿の間の谷間にまで、滑らかなエイミーの内腿の
皮膚の斜面を、転落していったのでした。


 エイミーは、胸元の白いペンダントを手に持っていました。
裏に手を当てて、自分の身体を光で照らしていました。

 眠っている間に、これの新しい使用法を学んだような気がしました。
まだまだ様々な用途があるようなのです。

 白い光は、自動的にトッドの方に移動していきました。
そして、エイミーの股間にいた、小さな彼の姿を発見したのでした。
私設刑務所からの脱走者を見付けたのです。 探照灯のように明るい光でした。

 蟻のような彼の姿がありました。白いシーツの上に、長い影を小さく落としていました。
「ちびの、いやらしい、みみずめ!!」

 トッドがもっとよく見えるように、巨大化していきました。
十八センチメートルぐらいにしました。

 小さな顔が、恐怖のために引き攣っている表情まで、エイミーには、くっきりと見えていました。

「私がどういったか、覚えているでしょ? 私の胸でお休みといったはずよ?」
 彼の実感としては、今までの十倍の巨人となったのです。
トッドは、両脚の谷間を、足首の方向に逃げ出そうとしました。

 しかし、すぐにエイミーの手に、簡単に捕まってしまったのです。
胴体を、鷲掴みにされていました。

「お前は、約束を破ったわ。 罰を受けるべき時だわ。 覚悟しなさい!」
 トッドはエイミーの顔の前に、持ち上げられていきました。

 怒りに満ちた藍色の瞳に、凝視されていました。 寝ていたために、
エイミーの顔の周りには、金髪が獅子のたてがみのようになって、渦巻いていました。

 トッドは悲鳴を上げていました。渾身の力で暴れて抵抗していました。
両手でエイミーの手を殴り、脚で指を蹴飛ばしていました。
口汚い言葉で罵ってもいたのです。

 エイミーは、ほんの少しだけ手の握力をトッドの胴体に、かけていきました。
彼の肺の中の空気が、すべて搾り出されていきました。

 さらに数秒間。 エイミーは、そのままにしていました。 手の力を緩めませんでした。
トッドは、すぐに静かになっていました。 抵抗は、無意味だということを悟ったようでした。

 エイミーは、左手の人差し指の爪先で、トッドの剥出しの性器と睾丸を、ばちんと弾いて
やりました。 手加減はしませんでした。

 彼は苦痛に絶叫していました。 小さな両手を、痛む股間にのばそうとしていました。

 しかし、エイミーは、それすらも許してやりませんでした。
万力のような指の力で、トッドの両腕を胴体に押しつけていたのです。

 怒りに任せて、もう一度急所を、ばちんと弾きました。
左手では、右手のようには、力の微調整が効きませんでした。


 そのまま、彼をベッドの頭にある小物入れの引き出しに、突っ込みました。
ばしんと音を立てていました。 叩きつけるように、そこを閉めたのでした。



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超乳エイミー・2 了




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