《70マイルジェニー
パート2

                           原作・ヘディン
                           文・みどうれい




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ジェニーは周囲を見回した。
見たこともない風景だ。やはりここは彼女の知らない場所だ。

(嘘でしょ、もう、やめてよね)
ジェニーは泣きそうになる。

彼女の車は何処にもない、地面には車のタイヤの跡さえない。
誰もいない、
木もない、山もない。
地面に草が生えていない、赤茶けた大地だけが、ただ広がっている。
空の色がいつもと違う、雲がない、地平線が丸く見える。
彼女のかかとの高さくらいに、白く薄い埃のようなものが浮かんでいる。

ありえない光景だ。絶対に変だ。
もうここは別の惑星だとしか思えない。
しかし、昨夜ジェニーは夜空の星座を確認している。ここは地球に間違いない。
彼女はいったい何処にいて、これからどうすれば良いのか?
そして、どうすれば仕事に遅刻せずにすむのか?

ここはサハラ砂漠・・・? そうかもしれない。
それならもう仕事に行けるとかいう話ではない。
水を探さないと一日で死んでしまう・・・、彼女は焦った。
ジェニーは空に昇ってゆく太陽と反対側に向かって歩いてみた。
しかしそんなことをしても何の意味もない。
地平線の彼方まで、同じ光景がずっと続いている。

その時、ジェニーは地面にあるモノを見つけて立ち止まった。
左足から30センチぐらいの地面が、明るい灰色の苔のような植物に覆われていた。
しかしその苔は乾燥しているようで、生きた水々しい植物という印象を受けない。

(何かしら、これ・・・?)
ジェニーは昨晩見た地面の小さな光を思い出しながら、それを覗き込んだ。

それは、昨夜のものよりずっと大きかった。
食事をするテーブルくらいのサイズはありそうだ。
完全に丸くは無かったが、小さな輪郭がある。
そこには互いに交差した面白い網目模様があった。
その上を、薄い白色の埃がかすかに漂っている。

ジェニーには、昨夜、彼女が指で潰した何かの根だけが地中で生きていて、
それが一晩で大きくなったようにも思えた。
しかし地球の植物なら、そんなに速く成長できる筈はない。

ジェニーは昨晩見た青い光を思い出した。
あの光は、空から降りて来たような感じもする。
やはりこの不可解な出来事には、宇宙人が関係しているのか?
この灰色の苔のようなものは、別の惑星の危険な植物・・・?
もしかしたら毒を持っているかもしれない。彼女はそう考えて、ぞっとした。
しかし、昨夜それに触った彼女の体に何の異常もなかった。

ジェニーは右足を上げて、その端に踏み下ろした。
それはただ地面を踏むのと、なんら違わなかった。
サンダルが柔らかい地面にめり込むのを感じる。
白い小さな埃がわずかにわき上がる。他には何も起こらない。

それからジェニーは右足を持ち上げて、彼女の左足のすぐ横に戻した。
彼女の足の動きは、地面の上を漂う埃の雲を少しだけ流れさせた。
ジェニーは地面の上に、彼女のサンダルの形の足跡を見ることができた。
それは完全なサンダルの跡だった。
灰色の苔は、彼女の足の形にきれいに消えて無くなっていた。
地面の植物はとても弱いらしい。

その時、彼女の体の中に今まで経験したことのない感覚が沸いていた。
何故だか分からないが、気分がいい。

ジェニーはよく考えてみた。
これが地球の植物でないのは、間違いない。
ジェニーを砂漠に置き去りにした宇宙人が、植えていったのかもしれない。
悪い植物に決まっている。
今すぐ、根絶やしにしてしまわなければならない。
そうしなければ、地球はこの植物に占領されてしまう。
ここにはジェニーしかいない。
だから彼女が、これを始末しなければいけない。

(踏み潰しちゃおうっと)
彼女はそう考え、地面を覆う苔の密集地を踏み始めた。
かすかではあるがサクッ、サクッという感触が足に感じられる。

それはジェニーにとって、とても心地よいものだった。
こいつのせいで、自分が砂漠で迷子になった・・・そんな気がする。
それなら、彼女は、この植物に罰を与える権利がある。

中心部をそのままにして、ゆっくりとその周りを歩く。
少しも潰し損ねないように片方の足で踏んでから、もう一方の足もすぐ前に降ろし滑らせ、
丁寧にそれを踏み潰す。彼女はそれを見て微笑む。
自分が何故こんなに楽しいのか、分からなかった。

すぐにジェニーはその場所を一周する。
その周囲にあった小さな縁は、全て彼女の足に潰されていた。
それから彼女はもっと大きな部分・・・、その中央を見つめた。


* * * * *


ジェニーが立ち上がった数分後、
バーベーシティのほとんど全員が目を覚ましていた。

彼らの都市の前に、信じられない存在がそびえ立っていた。
勘のいい何人かの人々は、すぐに自分達の避けられない運命を予感した。

そう・・・、そこに彼女が立っていた。
白いブラウスとジーンズを着た女。


信じられないほど、巨大な女。


地震は全ての家を揺らしている。
それはどんな地震学者が警告した揺れよりも、ずっと大きかった。
彼らは今、自分達の家から飛び出して、道路に立っていた。
彼らのほとんどがガウンかパジャマを着たままで、何人かは裸足であった。

それから揺れは止まった。叫び声が上がり始める。
人々は自分達の正気を疑った。皆、彼女を見ることができた。

圧倒的なまでの、その存在感。

彼女の足指は、都市の一番高い超高層ビルより、はるか上にそびえ立っている。
彼女の足にサンダルを括りつけた革紐でさえ、高速道路の20本分の車線と同じ幅がある。
はるか天空まで伸びている青いジーンズの脚、
プックリと弾力のある巨大なヒップ、
しなやかな腕、白いブラウスの下で大きく盛り上っている胸、

ずっと視線を上げた者は、彼女がとんでもない美人だと気がついた。
その美しさは豊かな黒髪によって、いっそう際立っている。
彼女の輝く明るい瞳は、地平線の彼方を見つめていた。

大女は彼らの無防備な都市を見下ろした。
それから彼女の目は地面に何があるかを調べるように、そこを見渡す。

人々の悲鳴の声は何倍にも高まる。
彼らは巨大な彼女の視線に見つめられるだけで、底知れぬ恐怖を感じた。
彼らの何人かは、高層ビルの後ろか自分たちの家に隠れるために、走り出した。

彼女がしばらく立ち止まって考えていた間、残りの者達は彼女の顔を見つめていた。
それから突然、大女は動いた。
数十万人もの人々の恐怖の叫びは、空に高まった。

大女は簡単に都市を、彼女の右足でなぎ払った。
摩擦で起こる雷鳴が都市を襲う。
地面にいた誰も逃げることができなかった。
人々が腕を持ち上げることさえできないうちに、何千もの家が巨大な足の黒い影に覆われる。

白いサンダルを履いた足は、信じられない速度で落ちてきた。


長さ15km、幅5kmもある大きな足が・・・。





高さ120mの超高層ビルも、高さ6mの2階建ての住宅も、潰される時間に変わりはなかった。
人間の建造したビルは、0.1秒の時間さえも彼女の重みに耐えることはできなかった。
彼女の足の裏が落ちる速度は、ビルの残骸が倒れるよりもずっと速かった。

彼女のサンダルは、エレガントで華奢なデザインに見える。
しかし実際にそれは、ソール(地面に接地する靴底部分)だけでも、
一足で都市の三十平方Km以上もの区画を、潰してしまえる大きさがあった。

建物の全てが彼女の靴底の下で押し潰され、そこにいた人も車も同じ運命を辿る。
全ての物が地面に押しつけられる。
すぐに柔らかい大地はめり込んだ。
人々は彼らが都市と呼んだ場所で圧縮され、わずかな赤いペーストに変えられる。

ジェニーの足は地面を300メートルもめり込ませてから止まった。
生き残った者達は、彼女がその巨大な足を降ろす震動だけで、地面から跳ね上げられ、
大女の存在が夢ではないことを理解した。

彼女の巨大なサンダルの裏が、超高層ビルディングに触れてから、
地面の下で止まるまで時間は、1秒の十分の一もかからなかった。
恐ろしい破壊の衝撃波が、彼女が足を降ろした場所から、都市の中心部に向かって走る。
家は崩れて、超高層ビルは道路と人々の上に壁の破片を落とし、
砕けた窓から、ガラスが雨となって地上に降り注ぐ。

巨大な足の下で圧縮された空気は、道路を突風となって走る。
人々はそれに巻き込まれ、吹き飛ばれて建物に激突し砕け散る。
巻き上げられた瓦礫が落ち、何もかもを潰してしまう前に、車は交差点で積み重ねられる。

ジェニーが足を下ろした地面は、場所によって、彼女に踏まれていない部分もあった。
彼女のサンダルはヒールが高く、つま先と、かかとの間がアーチ状に曲がっている。
横から見ると、彼女の靴の土踏まずの部分には、空間があるのが分かる。

彼女の土踏まずの部分は、ジェニーの指三本が入るくらいのスペースだが、
普通サイズの人間から見て、二十数平方kmもの広さがある。
摩天楼がそびえ立ち、一万数千人の人々が生きていた。
そして、その位置にいる人々は、ジェニーの靴底の構造ゆえに、
彼女の膨大な重量をのせた足に、直接、踏まれていなかった。

しかし、彼らが巨人の足に踏まれなかったという幸運を、喜ぶことはなかった。
ジェニーの足が大地に激突した瞬間、その衝撃で、猛烈なソニックブームが起こり、
建物は切り刻まれ、その周辺にいる者の全員が、砕け散っていたからだ。

ぐしゃぐしゃに潰されて、大きな起伏のできた都市の上に、恐ろしい静寂が広がる。
土煙の雲が薄れる前に、生き残った人々は再び彼女が巨大な足を持ち上げるのを見た。
彼女の足が地面から持ち上がる時、彼らは轟音が響き、大地が鳴動するのを感じた。

巨大な足が上がった時、そこは真空状態になる。
空気が彼女の足のあった場所に吸いこまれ、
周囲にあった全ての物が、破壊の中心に向かって引っ張られる。
何百人もの人々は、どうすることもできずに宙に浮き、深い足跡の中に引き込まれる。
すぐに彼らは地面に叩きつけられ、ぐしゃぐしゃの赤い塊になる。

彼らのうち冷静な何人かは、彼女が片方のサンダルだけで彼らの都市を踏み、
簡単に50,000人もの人々を捻り潰したと理解した。
人々は大女が次にすることを知ろうとして空を見上げる。
何かを想像することはできたが、誰も次に自分達がどうなるかを知らなかった。
次の彼女の一歩は、郊外に住んでいた10,000人の人々を踏みつけた。

もしできるのなら、大女が足を下ろす前に、全員がここから逃げ出そうとしただろう。
しかし彼らは逃げられなかった。
彼らは見た。
大女が都市の周りをゆっくり歩いているのを・・・。

彼女の足は大地を踏み、そこをえぐって持ち上げ、大きな壁を作った。
都市から逃げようと考えた人々には、どんなチャンスも残されていなかった。
大女はゆっくりと、着実に足を進める。
彼女がその足を下ろした幅5kmの街の全ては、念入りに二度も踏まれた。

どんな物も、彼女のもの凄い足の重さに、耐えることはできない。
巨大足が下ろされた場所は、地面の上にある何もかもが潰され、すぐに圧縮された。

彼女の体重の下で地面がめり込んだ時、地下鉄の駅もトンネルも崩れた。
そこでも数千人の人々が、あっけない程、簡単に潰された。
最初の震動は、地下鉄の駅のずっと遠くに、彼女の靴が下ろされた時に起こり、
それから地下街にいる人々は、天井が崩れてくるのを見た。

地下街は激しい地震に耐えられるように、設計されていたのだが、
彼女の足に踏まれた地面の揺れは、想像を絶していた。
人が造った地下の街は、ただ砂と石を固めて作ったかのように、崩れ落ちる。

そこには、コンクリートの瓦礫のわずかな隙間で、生き延びている人々もいた。
彼らは、大女が地下街の上に迫ってくる轟音を聞きながら、
天井が完全に落ちてくる前に、外に逃げようとした。
しかし、彼らの希望がかなうことはなかった。
彼女の足はあまりにも速く、彼らは脱出するチャンスさえ与えられずに踏み潰される。
慈悲の心を持っていない大女の足の下で、大勢の人間が潰された。

地上の人々は、彼女の足が降りてくる耳をつんざくような音を聞いていた。
地面が彼女のサンダルの衝撃で砕けた時、その揺れのため、彼ら全員が地面に倒される。
それから彼らは、地下街を踏み潰して、300メートルも沈んでゆく彼女の足を見た。
彼らは道路の上を転がり、彼女の足指の赤い爪を見る。
それは恐ろしく大きくて、都市を幻惑するかのように、きらきらと輝いていた。

彼女の進行方向にいた者達の運命は、もう決まっていた。
人々の上に大きな足が下ろされた時、彼らは、落ちてくる足の起こす衝撃波を受け、
地面の上を転がり、肺から空気を搾り出される。
そしてすぐに彼らは、彼女のサンダルに踏み潰された。

都市の中心部にいる者達は、ようやく彼女が何をしているかに気がついた。
大女は、彼らを逃さないように、都市の周囲に残骸の壁と、深い谷を作っているのだ。
だが、それを知ったところでどうなるものでもない。
彼らはただ悲鳴を上げるか、ひび割れた道路を走ってみることしかできなかった。

すぐに都市の周りに、誰も逃げ出せない深さ300メートル以上の死の囲いが完成した。
彼女の最後の強大な足踏みは、その衝撃で20もの高層ビルをぼろぼろに崩壊させた。
彼女の作った高い瓦礫の山でできた壁は、都市を取り囲んだ。
それから、大女は都市の残っている部分を見下ろした。

人々は恐怖に凍りついた。


* * * * *


ジェニーは、地面の苔の周囲を踏み固めて、満足した。
彼女は、何故自分がそんなことをしたのかよく分からなかった。

地面を踏みたいなら、端から踏んでいけば、それでいいのだが・・・?

どうでもいいことだ。
理由などはない。

ジェニーは、自分がしたいようにする。

ただそれだけの話だった。


ジェニーはしばらく地面を見つめてから、再び足を大きく上げ、
車のタイヤより少し大きいサイズになったその中央部を、何回か踏んだ。
それから彼女は立ち止まって、自分がすることについて考えてみた。
この後、20回も30回も踏むのは面倒だった。
もっと楽しめる方法はないのだろうか?

彼女はこれを潰す感触を、自分の体で感じてみたくなっていた。
数秒後に、ジェニーは自分の望んでいる方法に気がついた。
周囲を見回してみる。人の姿は何処にも見えない。

ジェニーは右手の指でジーンズのファスナーを摘んで降ろし、ジーンズを脱いだ。
健康的で、引き締まった太腿と長い脚が、あらわになる。

ジェニーはG-ストリングの黒いセクシィなパンティーを、身に着けている。
前面の縁にレースをあしらった黒いパンティーは、わずかな布で、彼女の秘部を隠している。
そしてその後ろ側は、彼女の丸っこいヒップの割れ目にきゅっと食い込んで、
尻のふくらみの豊かさを際立たせていた。

彼女は微笑んでそこにしゃがみ、背後の地面に腕を下ろして、自分の体重を支えた。
そしてジェニーはそのままの姿勢で、腰をぐいっと前に突き出す。

2秒後に、黒いパンティーに覆われた彼女の尻が、地上に残っている都市の上に舞う。

そして、ジェニーは地面に座った。


* * * * *


世界が巨大な女の体に、支配されていた。

天空には、ジェニーの足、ふくらはぎ、太もも、そしてお尻しか見えない。
それは、想像もしなかった異世界の怪物だった。
直径18km以上もある巨大な臀部は、都市の上空を覆い、日差しを遮っていた。

生き残っていた市民達は、恐怖の中でそれを見つめた。
きゅっ、と音を立てるようにくびれた腰。
ほとんど紐くらいの布地しかない黒いパンティーによって、2つに分けられた尻の肉。

もの凄い大きさの尻・・・。

彼らには潰されるまでに、自分達の運命を理解できる時間はあった。
大女は数十万もの人々を都市ごと、巨大なヒップで、押し潰そうとしているのだ!

大女の巨大なボディならば、そうしようと思えば簡単にできる。
誰も彼女を止められない。

彼らは見た!!
健康的で、豊かに突き出る白い肉。
その間から、はみ出して見える太い陰毛。
黒いパンティー越しに、大女の陰唇の輪郭すらはっきりと見える。

そこは、彼女の快楽を見せつけるかのように、濡れ湿っている。
大女が、この大殺戮を楽しんでいるのは、誰の目にも明らかだった。

彼らは空しく泣き叫んだ。
自尊心の強い誰かは 「ちくしょう!!バケモノめ!」 と、
また誰かは 「神よ!私達の何がいけなかったのですか?」 と、
また他の者は 「なぜだぁあああ!!」 とか叫んでいた。
しかし彼らのほとんどは、彼らの喉か肺から、ただ悲鳴を搾り出しているだけだった。

巨大で白い二つの肉の山は、天空より降臨し、そこに座った。
地面はジェニーの尻によって圧縮された。
どんな物も、彼女の肉の重さに耐えられはしなかった。

「固いハイヒールに踏まれて死ぬより、温かい女の尻に捻り潰された方がましだろう」
彼らにはそう考えて、自分を慰める時間さえなかった。

大女に対する恐怖のため、自分の家に駆け込んで怯えていた者、
より頑丈なビルの中に隠れた者、
車を運転して逃げようとしていた者、
道路を走りながら悲鳴を上げていた者、
彼らは、なんの区別もなく、全員が捻り潰される。
都市じゅうに響きわたっていた人々の悲鳴は、消え失せた。

巨大な体が持ち上げられた後、
大地には、彼女のまるっこい尻の跡が二つ、くっきりと残っていた。

それは、遠くからでも、彼女のパンティーのナイロン繊維の太さを、
正確に確認できるくらい大きかった。

都市には、まだ潰されていない部分が残っている。
生き残っている人々が、泣き喚き、パニックを起こしていた。
自分達の運命が信じられなかった。神に助けを求めていた。

すぐに彼女は体を移動させ、そこに腰を下ろし、巨体を動かし残りの全てを捻り潰す。

「あ・・・ふう」
ジェニーの気持ちよさそうな声が、都市の上に響く。
もちろん、圧縮された都市に、それを聞く者は誰もいなかった。


* * * * *


ジェニーは我に返った。

(やだ、私ったら何をやっているのかしら?)
ジェニーは、ばつの悪そうな顔をして周囲を見回す。
こんな恥ずかしい姿は、誰にも見せられない。
もちろん、ここには誰もいない。彼女はほっとため息をつく。

それにしても、さっきは気持ちがよかった。
ジェニーはブラウスのボタンを少し開いて、自分の胸に触る。
自分の乳首が硬くなっていることに、気がついていた。
パンティーの前部も、興奮した彼女の蜜液のため、しっとりと濡れている。
彼女は手で自分のふくよかな胸を愛撫しながら、快感の余韻に浸っていた。

ジェニーはまだ白いサンダルを履いている。
それは、足にソフトになじむストレッチ素材で作られていた。
しばらく彼女は自分の靴を見つめていた。
今日はとても暖かい。地面の砂は太陽に焼かれて、熱くなるに違いない。
そして彼女は1日中、歩き回らなければならないだろう。
しかしこの靴を履いていれば、焼けた地面の上を歩いても心配はなかった。

とにかく、今は誰かに会って助けを求めねばならない。
彼女は立ち上がり、ジーンズを拾う。
ブラウスとパンティーだけの姿で歩き始める。
なんとなく、西へ向かって。


* * * * *


カーファービルに住む人々は、大都市バーベーシティが潰されるのをはっきりと見ていた。
彼らには、大女が楽しんで町を破壊しているとしか思えなかった。

最初に彼女はバーベーシティの中に人々を閉じ込めるために、郊外を潰して歩いた。
すぐに彼女が都市の周囲を踏み固めたので、誰も逃げることができなくなった。

残酷な巨大女は「ネコがねずみを弄ぶ」ように、人々をいたぶりたかったのだ。
誰がどう見ても、大女は人々を恐怖に怯えさせ、楽しんでいるとしか見えなかった。

それから彼女は、誰も想像しなかった方法で、生贄の都市の始末をつけた。
ジーンズを脱ぎ、パンティー1枚の姿になって、バーベーシティの上に座ったのだ。
都市の全ての建物と人が、彼女の巨大なヒップで押し潰される。
ほとんどの人々は、何故、彼女がこんな事をするのか理解できなかった。

大女は都市を完全に潰した後、すぐにカーファービルに向かって歩き出した。
彼女にとって、破壊した都市から彼らの町まで、たったの2歩で跨げる距離しかない。
1歩目の衝撃だけで、町の全員が地面に成すすべもなく転がる。
すぐに彼女の足が、町の上を暗くする。

巨大な足はカーファービルの上に現われ、情け容赦もなく降りて来た。
彼女の固いサンダルのかかとが、地面に激突する。
そして0.1秒後、ジェニーは右足を持ち上げる前に、つま先を地面に押しつけた。
彼女の足には、信じられない力があった。
建物の全てと生きている人間の全員が、彼女の重さの下で押し潰される。
巨大な足に潰されて、そこには町と呼べるものが存在しなくなった。

人々は、「残酷な大女が町を踏み潰すのを楽しんでいる」 と考えていた。
しかし、それは事実ではなかった。
ジェニーは何も気がつかずに、カーファービルの全てを踏み潰した。
彼女はただ左足を上げて前に伸ばし、かかとを下ろしただけだった。
その町は小さ過ぎて、彼女のたったの1歩で、その全てが潰されてしまった。

彼らの生命と文明生活の場が、一瞬で失われた。
人々にとっては、間違いなく大殺戮が行われた。
しかし彼女にとって、ここはただの踏みつけるべき地面だった。

無慈悲な大女は町を破壊した。
彼女の足は踏み潰した。全ての物を・・・。
巨大なサンダルを履いた大足で・・・。


* * * * *


ジェニーは西に向かって歩いていた。太陽を背にして歩くのは気持ちがよかった。
やがて彼女は立ち止まった。
また別の灰色の苔で覆われた地面を見つけたのだ。

(同じものが、またあるわ!)
ジェニーにとってこれは朗報だった。どうやら、この苔は普通の植物らしい。
それなら、少し探せばあるだろうから、いくらでも踏み潰して遊べる。
あの気持ちよい体験をまたできる・・・。
彼女はそう考えただけで、期待にわくわくした。

しかし彼女はもう一度考えてみた。
(喜んでる場合じゃないわ、本当に、ここは何処なのよ?)
ジェニーはずっと奇妙な違和感を覚えていた。
真実を知らねば、家に帰れないに違いない。何か手がかりがほしい。
彼女は地面のそれを、よく観察してみることにした。

ジェニーは手に持ったジーンズを後ろに置くと、そこにしゃがみ腹這いになった。
これが何という植物なのか知りたかった。彼女は顎をその前に下ろす。
これはさっきのものと違う色だった。
そこにも不思議な格子状の模様がある部分があった。
しばらくの間、彼女はそれを見つめていた。
ジェニーはその小さな物に、目の焦点を合わせようと努力した。

そして突然、真実を理解した。
ジェニーはショックで喘いだ。彼女は目を閉じた。

しかし、ジェニーは再び見つめなければならなかった。
彼女は目を大きく開き、そして、ため息を口から吐き出した。
今までに一度も、こんな夢を見たことがなかった。
それは、ものすごく非現実的で・・・、すばらしくさえあった。

彼女は摩天楼を見ていた。
本物の・・・小さな超高層ビル。
米粒より・・・少しは大きい。
彼女は都市を見ていた。
それは間違いなく大都市・・・。
小さい超高層ビルが20以上も、そこにあった・・・。

そして地面には、道路と建造物が規則正しく並んでいる。
細い高速道路が見える。
彼女の目は都市を見つめた。街の区画までちゃんとある。
そこを動いている自動車さえ、見ることができた。

突然、彼女は世界をさっきまでと違う視点で、見なければならないことに気がついた。
何故、今まで気がつかなかったのだろうか・・・?
地面からおよそ5〜10センチの高さに浮いている埃のようなものは、雲の塊なのだ。
少し遠くにある地面の隆起は、険しい山脈だった。
よく見れば山のふもとにも、小さな都市がたくさんある。

おそらく隣の都市まで続いているのだろう、細い高速道路が砂漠に伸びている。
彼女の目には見えなかったが、その都市には何百万人もの人々が住んでいるに違いない。
そして彼らのほとんど全員が町を捨て、彼女から逃げようとしていた。

恐ろしい予感と共に、ジェニーは自分の肘を見た。
今、地面に腹這いになって、都市を見つめているのだ。
彼女は自分の両肘が、それぞれ50以上もの都市の区画を、破壊しているのに気がついた。
そして、ジェニーは自分のブラウスの胸元を見た。

ジェニーの大きくて重い乳房は、とっくに地面をめり込ませていた。
彼女は自分がブラウスの下で、少なくとも100万人の人々を潰していることを理解した。
それから、ジェニーは我に返った。
いったい今、何人の人々が彼女に潰されているのか?

それでは、彼女がさっき潰した、地面を覆っていた灰色の苔は!!
いったい何を寝ぼけていたのか、宇宙から来た植物など存在しない。
彼女は数百万人が住む都市を、巨大な肉体で、完全に押し潰したのだ。
ジェニーは再び目を閉じて、その時の光景を想像しようとした。

巨大な彼女の足と、小さ過ぎる彼ら…。

生き残るために走っている人々、彼らに迫る彼女の足の影。
彼女の体重は、想像を絶しているに違いない。
摩天楼の上に降りてくる、彼女のサンダル。
彼女の靴底の裏に触れ、ぼろぼろに崩れる高層ビル。
ハイヒールの下で、地面に押しつけられる家。
彼女の足の裏が車と人々の上を覆い、地面にそれを押しつけた。

誰も彼女の美しい足を止められない。
生き残ったわずかな人々は、彼女のサンダルと巨大な足指を見つめただろう。
町は、美しいサンダルの下で潰された。

足の下で潰される人々・・・。
彼女のそそり立っている足指を、見つめているわずかな生存者達・・・。
丁寧にペディキュアを塗られた足指の爪・・・。
そして、彼女の巨大で強い足・・・。
ジェニーは全く気がつかずに、何百万人もの命を奪ってしまったのだ・・・。

しかしその時、彼女は自分が地面に、下腹部を擦りつけていることに気がついた。
それはとても気持ちよく、そこから全身に、じわっと快感が伝わって行く。
彼女のパンティーは、すでに熱く濡れていた。

ジェニーは今までに経験したことのない、エクスタシィを感じていた。
彼女は地面に座り直した。
その美しいボディが身震いするのを、止めることができない。

それからジェニーは、自分が理解したことを確認するために、
自分の前の小さな都市と、その上の小さな雲の塊を、もう一度慎重に見下ろした。
間違いなく何百万もの人が住む都市が、彼女の前に存在している。

この時、ジェニーの頭の中で、何かが弾けるような音がした。
そう・・・、彼女は都市を見て欲情していたのだ。

ジェニーは微笑んだ。
すくっと立ち上がり深呼吸をして、全身の筋肉を引き締める。
ブラウスのボタンを外した時、楽しみの予感に彼女の体は熱くなっていた。
彼女はブラウスを脱ぎ、それを投げ捨てる。
汗ばんだカラダが、ひんやりした空気に触れ心地よい。

今や彼女の美しい体を隠す衣服は、肌着のみ・・・
申し訳程度の小さな布で作られた、セクシィなブラジャーと黒いパンティーだけだった。

しばらくの間、ジェニーは自分の整った体のラインを見つめていた。
胸のブラは豊満な乳房に内側から押されて膨れ上がり、
たっぷりとした乳房が、深い谷間を作っている。

引き締まった腹部はきゅっとくびれ、パンティーはぴったりと彼女の尻にフィットしている。
太腿は肉付きよく引き締まり、脚はすらりと伸びている。
そして彼女はまだ白いハイヒールのサンダルを履いていた。

彼女は本当に魅力的なボディをしていた。
(どうして私ったら、仕事ばかりしていたのかしら?)
ジェニーはそんなことも考えてみる。
これだけの素晴らしい体・・・。
ご褒美に遊ばせてあげてもいいではないか。
誰に遠慮する必要があるのか。

それからジェニーは手を背中にまわしてホックを外し、ブラジャーを取り去った。
豊かな乳房はブラジャーの圧迫から解き放たれて、ぷるんと宙に弾む。
薄ピンク色の乳首は、揺れる乳房の上で硬くなっている。

彼女は手にしたブラを、無造作に足元の都市の上に落とす。
下着の直撃を受けた多くの高層ビルが、その重さに耐えきれず、はりはりと崩れ落ちる。

ジェニーは両手の親指をパンティーのウェスト・バンドにかけ、それをぐいっと引き上げる。
可愛らしい端きれのような黒い布が、彼女の陰部にきゅっと食い込む。
都市に住む大勢の人が、彼女の姿を見上げているだろう。

ジェニーは彼らの視線を意識し、すごく興奮していた。
彼女は自分の体を小さな人々に見せつけるかのように、くるりと都市に背を向ける。
ゆっくりとパンティーを、形のいい二つの半球状のヒップの下に押し下げる。
ジェニーは太腿をすり合わせるようにして、パンティーを脱ぐ。

そしてジェニーは、まるで次の獲物を探すかのように、地面に目をやる。
郊外に住宅地が見える。
小さな家の雰囲気と、その間隔から、そこが高級住宅地だと彼女にも分かる。
ジェニーが一生働いても買えないような高価な家・・・。

テレビドラマで見たゴージャスな邸宅が、彼女の頭に浮かぶ。
(いいなぁ・・・私も、あんな家に住みたかったな)
裕福な人々は、そこで何の心配もなく暮らしているのだろう。

イタズラ心を起こした彼女は、パンティーをそこに放り落とす。
小さな布きれは、あっけないくらい簡単に、また多くの家を潰してしてしまう。
建物の下敷きにならず生き残った人々がいても、彼らは小さく弱いので、
ジェニーのパンティーを持ち上げて、脱出するのは不可能だろう。
その非常識な想像に、彼女はくすくすと笑ってしまう。

彼女が右足を大きく上げ、地面の下着を蹴飛ばした時、
ジェニーは、足の下で崩れる小さな物の感覚を楽しむことができた。
甘い快感が、体の中で泉のように溢れ出す。

今や、ジェニーはサンダルを履いている以外、完全に裸だった。
何もかもが完璧だった。
破壊のすばらしい快感を楽しむ時間だ。
彼女は自分が全能の足で、大破壊をしてしまった事実を知った。
そして小さなものを潰す想像は、あまりにもセクシー過ぎた。

ジェニーは人口の多そうな都市の真上に、彼女の足を降ろす。
足の下で、無数の高層ビルがサクサクと崩れるのを感じ、吐息を漏らす。

ジェニーは股間に手を伸ばす必要などなかった。
彼女の手はとっくにそこに伸びていて、足で全ての物を踏み潰している間に、
愛液に濡れたクリトリスを擦って、快感をより高めていた。

それから、ジェニーは豊かな胸を、手のひらで持ち上げるように揉み始めた。
張りのある乳房は、すぐに元の姿に戻ろうとする。
自分の若さと体力が、手のひらに伝わってきて、彼女の気分を高ぶらせる。

地上の男達は、彼女の胸に触ることさえでききない。
(ほら、どうしたの、何をやっているの?)
ジェニーは笑う。
愛欲の感覚と共に、足下で何万人もの人々を踏み潰してゆく。
彼女にとって自分の情欲を満足させることが、地球上の全ての物よりも大切だった。

いったい誰が、ジェニーから逃れることができるのだろう。

彼女は今、全てが可能な無敵の存在だった。

性的なパワーの感覚は、彼女を圧倒した。

彼女は地面に膝をついて、豊かな乳房を両手でなおも愛撫する。
しかし、一度火のついた彼女の体は、一層のエクスタシィを求めていた。
ジェニーは自分の体を前に投げ出し、地面にうつ伏せになる。

それは、すばらしい感触だった。
最初に彼女の乳首が超高層ビルを炸裂させて、その残骸を地面に擦りつける。
ジェニーの乳房の柔らかい固まりが残忍なまでの力で、無数の街の区画を押し潰す。

ジェニーが乳房を街の上で動かした時、可愛い乳首が、大地をえぐる。
本当なら痛いはずなのに、今のジェニーの体は無敵の力を持っていた。
コンクリートと、硬い岩盤が、彼女の乳首に抵抗できずに、めり込んでゆく。
その心地よい感触に、彼女はとても感じてしまう。

「あはっ!」
ジェニーは全身を震わせて、小さくいってしまう。
もう、こうなっては都市の運命は、決まったようなものだった。
人から見て大都市であるその場所も、ジェニーの巨体とは比べ物にならない。

彼女は熱いプッシィに指を挿入しながら、丸っこい乳房で都市の上を擦り続け、
そのすさまじい重さで、何もかもを粉砕し、すり潰していく。
そこに何十万人もの人々がいることなど、全く気にしない。
脳天がしびれるほどの心地よさに、ジェニーはのけぞる。
巨大な乳房の下で、またたく間に都市は無人の荒野へと変わっていく。

彼女の貪欲な肉の山によって、何千もの小さなビルが捻り潰されるのを感じながら、
ジェニーは、経験したこともない素晴らしい快感に、絶叫していた。

一度いってしまったことにより、彼女の性感帯は、より敏感になっていた。
3分の間、ジェニーは彼女の巨大なボディで、都市を潰し続けた。
濡れた彼女の股間に、たくさんの建物と人間だった物が、塗りつけられる。

やがて満足した彼女は遊ぶのをやめ、手足を伸ばし、
都市の残っている部分の上で、けだるげに体を転がらせた。
それから、ジェニーは眠りについた。


* * * * *


ジョナサンは、自分の家のドアを必死で開けようとしていた。
泥棒の心配をしていた彼は、ドアを厳重にロックしていた。
朝のラジオが音楽の代わりに、「意味の分からない臨時ニュース」で始まった時、
彼はそれが悪い冗談だと思っていた。
突然の地震を感じるまで・・・。

カーペットが、まるで生きているかのようにうねっている。
彼はベッドから飛び上がって、その動く絨毯に蹴つまずいてひっくり返った。
次の揺れは、彼がドアに逃げようとしてまた倒れた時、壁の棚を落とすほど激しかった。
そして彼が鍵に手を伸ばす前に襲った次の衝撃は、家を崩すくらいの破壊力があった。

ジョナサンはひっくり返り、ドアの前に投げつけられた。
彼の家は完全に傾いている。
部屋中の全ての家具が、この家の主人を無視して、向こうの方へ走って行く。

ジョナサンが立ち上がる前に、大きい影が彼の住んでいる町の全てを覆った。
彼は家が潰され、自分が生き埋めになると確信した。
突然、壁に大きなひびが走った。
彼の家はもうこれ以上の衝撃に、耐えることはできないだろう。
ちょうどその時、ドアが壁ごと倒れ落ちる。
ドアは蝶番から引き裂かれていた。

間一髪、巨大モンスターの次の1歩が下ろされる寸前に、ジョナサンは家から飛び出した。
家は、脱出した彼のすぐ後ろで崩れ落ちる。
ジョナサンは土煙の中に倒れたまま周囲を見た。そこには瓦礫の山しかない。
「家族が生き埋めになった!」 誰かが叫んでいた。

ジョナサンは覚悟を決めて、目を閉じた。
足音はだんだん大きくなっていた。怪物はすぐそこまで来ている。
おそらく次の衝撃は、簡単に、彼を投げ飛ばして殺す破壊力があるだろう。
しかし次の1歩はさっきより、はるかに柔らかかった。

彼は、この破壊を引き起こした元凶である、巨大なものを見上げる余裕が、
まだ自分にあることに気がついた。
彼は、おそるおそる目を開く。

彼女を見上げた時、ジョナサンの思考は停止した。


サンダルを履いている以外は、完全に裸の巨大な女体!!


ジョナサンの喉から、思わずため息が漏れる。
朝日に照らされた彼女の姿は、あまりにも美しかった。
引き締まった太股、すらりと延びた脚。
量感豊かに揺れているヒップ、くびれた腰。
わずかな贅肉もない腹部。ふくよかな胸。

それはジョナサンに、こんなに素晴らしい女性の体を見られたならば、
「もう死んでもいい」 と思わせる程の、完璧な美しさだった。

彼女の甘い匂いが周囲に漂っている。
それは、百合の花の香りに似ているような気がする。

それから彼は、自分と同じように人々が彼女を見上げているのに気がついた。
だが、今の彼には他の者のことなど、どうでもよかった。
ジョナサンは再び、巨大な彼女に目をやる。
彼は、サンダルから突き出る彼女の巨大な足指を見つめた。

ほとんど廃墟となった都市で、生き残った者達全ての希望を終わらせる前に、
彼女の足は、その動きを止めていた。

何よりも、すさまじい大きさのその足・・・。

信じられない。何分か前に都市だった場所の上に、
今、彼女はサンダルに乗った、高さおよそ3kmもの足指を置いていた。
むき出しにされた親指の大きさは、圧倒的だった。
靴底は、かるく200m以上も地面にめり込んでいる。

ジョナサンは、彼女の体の大きさを目測しようとした。
あまりに大きすぎて、比較する物が無かったが、親指だけで高さ1km以上、
幅は少なくとも2.5km、小さな足指でも幅1〜2kmはある。
足の指先にきらめいている「飛行場くらいの大きさの赤い爪」が印象的だった。
彼は、彼女の親指の爪でさえ、厚さ60メートルはあるだろうと想像した。
爪に塗られたペディキュア液の層だけでも、厚さ15メートルはありそうだった。

ずっと上に見える彼女のかかとの高さは、彼の想像を超えていた。
ジョナサンはさらに頭を上げて、巨人のすらりと伸びる脚を見る。
彼女の脚は、天界にある神殿の柱のような優雅さで、そこにそびえ立っている。
そして彼女の完璧な二本の脚は、ずっと上で優雅な女性の腰へと繋がっていた。

ジョナサンは、彼女の股間の付け根にある「黒々としたジャングル」を見つめた。
彼女の陰毛は、ジャンボジェット機の直径の2倍の太さがある。
小さなジョナサンがその陰毛の生い茂る森に入り込み、道に迷ったとしても、
おそらく彼女は、気がつきもしないだろう。

その密林の中に、恐ろしい巨大な女性の秘部があるのを、彼は見た。
その長さ7kmもある陰核は、山脈の大きさの濡れた陰唇の柔肉によって挟まれていた。
恐ろしいことに陰部から、彼女の蜜液が大量に沸きだしているのが、はっきりと見える。
そこは大女の欲情を示すかのように、朝日をうけ、キラキラと輝いていた。

間違いない!
大女は興奮しているのだ。
なんということだ!
彼女は、ちっぽけな人々の町を見下ろして、興奮している。

その時ジョナサンは、自分自身も興奮しているのに気がついた。
股間の一物が、ズボンの中で痛いほど勃起している。
頭の中がぐるぐる回っている。
心臓はドクン、ドクンと動悸し、彼はあえぐように息をしている。

彼は前かがみになったが、彼のペニスはいきり立ったままで、縮まろうともしない。
ジョナサンは呆然としながら、「俺は気が狂ったのか」 と考えていた。
しかし、ジョナサンは彼女の巨大な裸身から、目を離せなかった。

ジョナサンは、巨人のお腹を見上げた。
ウェストのくびれが印象的だ。
彼女は、こんなにも巨大であるのに、美しく滑らかな肌をしている。
引き締まった腹部は、健康的な魅力に溢れていた。

お腹の真ん中には、可愛いへそがあるのが見える。
彼女にとっては、縦長のほんの僅かな窪みである。
しかし、そこだけで、マイケルジャクソンのコンサートができそうだ。
彼女のへそは、5万人の人間が入って踊れるサイズがあった。

ジョナサンの目は、彼女の胸を見つめた。

乳房、胸のふくらみ、おっぱい! 乳肉・・・。

これらの言葉の全てを合わせても、
彼女のものすごく大きな、胸の甘い肉の固まりの凄まじさを、表現することはできない。

朝日の輝きが、彼女の胸に彩を与えていた。
天空の美しい山を見ているようだ。
とても触ることはできないが、ずっしりとした重みを感じられる。

彼女が呼吸するたびに、胸の谷間が深くなり、そして浅くなる。
巨大な乳房は、彼女の胸から7kmも盛り上がっている。
斜面は9km以上もあるだろう。
ロッキー山脈でさえ、彼女の胸のふくらみに勝てない。

たっぷりとした乳房は豊かに突き出し、その美しく整った形が少しも崩れていない。
若い彼女の両胸は、その中に弾けるような強い筋肉を持っている。
彼女が動いた時、乳房はその信じられない強さを示すかのように、ぶるんと揺れる。

彼女の淡いピンク色の乳首は、山のような乳房の上に、ちょこんと出ている。
それは、彼女の凄まじいボディから見れば、小さな「つぼみ」にも見える。
しかし、それでさえ町の高層ビルを100棟集めても、抵抗できない怪物なのだ。

背筋がゾクゾクする。素晴らしい眺めだった。
ジョナサンは、彼女の巨大で美しい胸を見続けた。
それは、前人未踏の聖なる山だった。
ジョナサンは、彼女の胸の上に登りたいと願った。

その時、彼女は、全ての物を潰してしまえる巨大な足を動かした。
雷鳴が響きわたる。地面が激しく振動した。
しかしジョナサンは、大きく揺れる巨大女の胸から、目を離すことができなかった。
彼は白昼夢を見ていた。

彼の周りの人々は、叫び声を上げ、走り出していた。

若い女性がパニックを起こしていた。
彼女は逃げようとして、傷ついて道に倒れている男を靴で踏んでしまう。
先端の細いピンヒールの靴底で、踏みつけられた男の体に穴があく。
「うわあ、何をする!」 男の怒声が聞こえる。
「ごめんなさーい!」 女はそう叫びながら、向こうの方へ逃げていく。

(俺も逃げなければ・・・) ジョナサンはそう思った。

巨大な彼女が歩き出せば、どうなるか、ジョナサンも容易に想像できる。
しかし彼の足は動かない。
人々の悲鳴さえも、彼の耳にはずっと遠くに聞こえる。
もう完全に手遅れだった。
逃げても無駄だと分かっていた。

今はただ彼女を見つめていたかった。
自分が彼女に出会うためだけに、今日まで生きてきたような気がしていた。

ジェニーは6万倍のサイズに巨大化したが、彼女の姿は以前と同じ筈だ。
しかし、何かが違っていた。
今の彼女は、その体から神々しいまでの美しさを放っていた。

ジョナサンは、デイ・ドリームの中を彷徨っていた。
そうだ、彼女のために帝国を作ろう。
彼女の偉大さを理解できる大勢の男達が、きっと協力してくれるだろう。
そこで、彼は女神を崇める神官となるのだ。

ジョナサンはそこに立ち、ジェニーを見続けた。
彼の心は、ジェニーの巨大さと美しさに対する、賞賛の念で溢れている。
そして、その気持ちを彼女に伝えられないのを残念だとさえ考えた。

その時ジェニーは突然動いた。
彼女は大きな乳房を前に突き出しながら、その巨体を前に倒した。
その動きはあまりにも速かった。
ジェニーの巨大な胸が落ちて来るのを、ジョナサンはただ見つめていた。

彼女の荘厳な裸体は、美と力に輝いていた。
まさに神聖不可侵の女神だった。

彼が目を逸らす前に、ジェニーの巨大なボディは、彼の上に倒れこんだ。
ジョナサンの体が、彼女の乳房の下で炸裂する前に、
彼はジェニーの柔らかい肉とその暖かさを、感じたような気がした。
ジョナサンは彼女の体の下で死ねることを、幸せだと思った。

巨大な乳房の肉の恐ろしい重さの下で、町の全てが潰される前に、
地面は数千もの人々の血で彩られた。
彼女の凄まじい重さのため、地面は地中深くめり込み、乳房の形を大地に深く刻み込んだ。

ジョナサンという男が、自分を崇拝していたと知れば、ジェニーはどうしたのだろうか?
とりあえず、彼の町を踏むのを、ためらったかもしれない。
しかし、彼女には、人の心を知る術などない。
自分に好意を持つ者だけを選び、守ってやることもできない。
結局、ジェニーが歩く時は、足元にいる者、全員を踏み潰すしかなかった。

それから、ジェニーは別の3つの都市を、彼女の体の下で押し潰して眠りについた。


* * * * *


地球から何百万kmも離れた宇宙空間に、美しい白色の宇宙船が浮かんでいた。

それは地球のホバークラフトの形に似ていた。
宇宙船の中には、小石のような物が宙に浮いている。
異星人達がそれを覗き込んでいる。
彼らは本物の異星人だった。
そしてこの石は、地球の町ペンティアムビルを縮小して、コピーしたものだった。
彼らはこれを調べることにより、地球文明のほとんどを理解することができた。

はるか昔に、彼らは「未知なる宇宙」へと旅に出た。

彼らが作った宇宙船は、宇宙空間から、直接エネルギーを吸収できたので、
永遠に航行することができた。
長い旅の間に、その船は宇宙エネルギーを蓄積し続け、
いつしか、惑星さえも瞬時に粉砕できるほどのパワーを溜め込んでいた。

そして、その膨大なパワーは宇宙船に蓄積しきれず、外に漏れ出していたが、
異星人達は別に気にもしなかった。

ある日、彼らの船は地球周辺の宙域に到達した。
彼らは地球文明のサンプルを持って帰ることにした。
彼らが選んだサンプルは、地上で「ペンティアムビル」と呼ばれている町だった。
異星人達は地上の町を数万分の一のサイズに縮小し、町の完全なコピーを作った。
サンプルは小さくした方が、研究をしやすかったからだ。
そして彼らはもう用の無くなった町を、再び数万倍の大きさに戻した。

町は縮小された衝撃で、原型をとどめないくらい破壊され、
住んでいた人々も皆死んでいたので、その後で元の大きさに戻しても、
あまり意味が無かったのだが、彼らは別に気にしなかった。

その後すぐに、異星人達は地上に奇妙な反応を見つけた。
一体だけのようだが、強力なエネルギーを持つ「生命体」がいるのだ。
その生命体の保有する力は、異星人の彼らから見ても、強大であった。

彼らは驚いた。
この惑星の環境で、これほど強い生物が誕生するとは、考えられなかったからだ。

彼らは、地上の生命体を探査してみた。
しかし結果は、彼らが希望したものではなかった。
「地上の生命体」は強大な力を保有してはいたが、自分のパワーを制御しきれず、
わずかな時間で崩壊してしまう、不安定な存在だった。

いかなる理由で、この惑星の原住生物が一体だけで、
そのような不自然な進化をしたのか、彼らにも分からない。

すぐに異星人達は興味を失った。
彼らは船を発進させて、地球から離れた。
しかし彼らは知らなかった。
彼らが地球で実験を行った時、そのすぐ近くに一人の女性がいたことを・・・。
事故で、彼女は異星人達のエネルギーの照射を、まともにうけた。

ジェニーの肉体を探査した異星人達は、彼女がすぐに死ぬだろうと予測した。
しかし、いかなる運命の悪戯か、ジェニーは生き残った。
ジェニーは、異星人の強大なエネルギーを、完全に自分の体内に取り込んだ。
彼女は地球上では誰も抵抗できない力と、究極の肉体を手に入れた。

異星人達は地球を去った。
彼らが地球を来訪したことを知る者は、誰もいない。


* * * * *


いくつもの町を破壊した大女は、眠っていた。

人々は逃げるのをやめ、最後の勇気を振り絞り、町に戻って、
瓦礫の下から、愛する家族や友人を助けようとした。

ごうん ごうん ごうん ごうん・・・

彼女の心臓の鼓動が、大地を律動的に震動させている。

都市の気温が上昇していた。
彼女の肌の無数の毛穴から、水分を含んだ空気が放出されていた。
亜熱帯のように、蒸し暑くなっている。
ジェニーの肉体は、気象条件さえも変化させるほどの力があった。

彼女はなんと大きくて強いのか。
現実に見る巨大な肉体に圧倒されてしまう。
とても人間に抵抗できる存在ではない。
人々は恐怖に耐えるために、眠っている女の山から、顔をそむけていた。

しかし目をそらしても、巨大な体から発せられる温みを感じる。
その体の匂い。
髪からは、かすかなシャンプーの香りがする。

どうしても、彼女に目をやってしまう。
彼女が息をするたびに、巨大な乳房が上下に揺れ、空気を震動させる。

何もかもが押し潰された都市の上で、恐ろしく迫ってくる凄まじい肉体を見つめ、
人々は 「女巨人が間違いなく存在している」 という事実を、思い知らされていた。

彼女は何の夢を見ているのか?
平和で幸せな夢を見ているのか・・・。
それとも、彼女が現実にやったように、
膨大な肉体の重量を地獄の獄卒のように、小さな人間に振り下ろす夢か。

それから突然、彼女は起き上がった。
巨大な足か尻が、すぐに落ちてくるだろう。
人々は再び慌てふためきパニックを起す。
彼らは、大女がまだ潰していない町の西側から、逃れようとした。

彼女はしばらく動かなかった。何かを考えているようだった。


* * * * *

ジェニーは眼を覚ましていた。目を開いて周囲を見た。
彼女は今、正気に戻っていた。座って地面を見つめた。
彼女が身長70マイルの大女であることは、事実だった。

その事実に彼女は困惑しきっていた
(これから、どうすればいいの・・・?)

彼女は自分が子供だった時のことを、思い出していた。
12歳になった時、自分の秘部を触ったら気持ちいいことに気がついた。
そしてそれ以来、彼女は何回もそれをやっていた。
巨大化して肉体が変化したのか、彼女は今まで以上に性的な欲求が強くなっていた。

そして、そこに小さな人々がいた・・・。
もし、ジェニーが立ち上がったならば、彼女は小さすぎる人々をどうやっても見られない。
座っている彼女が見つけることができる一番小さいものは、大型のトラックだった。
腹ばいになり地面に顔を寄せ、ようやく人々を、腕と脚がある小さな点だと認識できた。

それにしても彼らは小さ過ぎた。
彼女はため息をついて、大地にめり込んでいる自分の尻を見つめた。
いったい今、何人の人間が、彼女の暖かい肉の下で潰されているのだろうか?
いや、人間どころか町や村さえも潰されているだろう。
彼らは小さ過ぎて、あるいは多過ぎて、数えることさえできない。

ジェニーはアリのことを考えた。
彼女は今までの人生の中で、何度か地面のアリを踏み潰したことがあっただろう。
今の彼らはアリよりも、さらに小さかった。
彼らの大型トラックでさえ、ノミ程の大きさもない。
彼女は、人々が自分と比較できないほど小さいのを、知っていた。

しかしジェニーは、「彼らが人間である」 と知っている。
彼らはそこで生活していて、生きているのだ。

ジェニーはこの事実に対して、何とかしなければならない。
彼女は人々と話をすることができる筈だ。
おそらく、彼らはジェニーと話す方法を考えるだろう。
スタジアムのスピーカーか、あるいは、他の何らかの方法で。

しかし・・・ジェニーは彼らと話をして、それからどうなるのか?

彼女に町を破壊され、家族を踏み潰された者は、きっと絶望と恐怖の中にいるだろう。
しかし、もうやってしまった。と言うか、ただ (踏んじゃった・・・) という感じ。
いったい、ジェニーにどうしろと言うのか?

彼らは 「人や町を踏み潰すのを、やめてくれ」 と彼女に言うだろう。
しかしジェニーが歩いただけで、彼女の足が数十平方kmもの地面を踏んでしまうのに、
彼女はどうやったら、彼らを避けることができるのか?
彼らは、ジェニーを何処かの砂漠に行かせるのだろうか?
ジェニーはカーペットくらいの広さの砂漠で、彼女の残りの人生を過ごすなど真っ平だった。

もう一つの取るべき道があった・・・。
ジェニーは彼らを完全に無視することができた。

彼らはジェニーを止めるために、何をすることができると言うのか?
よく考えてみれば、彼女の足首程の高さも無いスタジアムのスピーカーの声が、
彼女の耳に聞こえるとは思えない。
彼らの飛行機は、小さなミバエ程の大きさもない。
そして新型のジェット機でさえ、立ち上がった彼女の股間の高さにさえ飛んで来られないだろう。
彼女の目線の位置にさえ来られない虫達と、いったい何を話す必要があるのか?

(なんで私が、こんな連中のために、狭い砂漠で我慢しなきゃいけないの?)
ジェニーはごく普通にそう思う。

ジェニーは、彼らが人間だったという事実を無視することができるのか・・・?
彼女は、彼らをノミのように扱うことができるのか・・・?
ジェニーは考え込んでしまった。
彼女はしばらくの間、自分のやった凄まじい破壊と暴力のことを想像してみようとした。
しかしすぐに彼女は、自分が人々の死に心を痛めていないことに気がついた。

今のジェニーにとって、都市は地面の灰色の苔の密集地に過ぎない。
彼女は暑い夏の日に、森の中の苔の上に座るのが好きだった。
スカートを持ち上げ、むき出しの尻を苔に押しつけて、その感触を楽しんだ。
それは冷たくて、柔らかく、心地よかった。
そして都市の上に座るのは、それ以上に、もっと気持ちがよかった。

ジェニーはこれから、どうするのかを決めなければならない。


(・・・・・・やだ、どうしよう・・・) 彼女は顔をしかめた。

その時ジェニーは「自分が毎朝やっていた事」を思い出してしまった。
今まであまりに興奮していたためか、全く気にしていなかったのだ。
できれば思い出したくなかった。大勢の人がいる。

(嘘でしょ、そんな・・・) 彼女は呆然とする。
もっと早くに、やっておけばよかった。
せめて、ここがサハラ砂漠だと考えていた時に・・・。
しかし彼女の下腹部の生理的な欲求は、ジェニーが意識したとたん、急激に増大していた。

ジェニーはそれについて冷静に考えた。
それから1分ほど、彼女は何もしなかった。
最後に、ジェニーは自分の行動を決定した。
ジェニーは周囲を見回した。
最も大きい山脈さえも、彼女のかかとの高さにもとどかない。
彼女がそれを「人々から隠れてする場所」は、何処にもなかった。

全裸のジェニーは地面にしゃがみこんだ。
もう我慢できない。
もはや彼女は、自分が何処にそれをするのか、全く考えていなかった。

ジェニーは気がつかなかったが、彼女がそこに座った時、
大きな牧場と何百頭もの牛が、彼女のサンダルの下で押し潰された。
彼女は太腿を大きく開いた。手をひざの上に置き、地面を見下ろす。
下腹部に力を込める。
そしてジェニーは、朝のおしっこをした。


* * * * *


ハーボンタウンの生き残った住民達は、周りにある都市の壊滅を、見せつけられていた。
大女の巨大な足によって引き起こされる衝撃は、ほとんどの家を崩壊させていた。
3つの小さな別荘と古い公会堂はまだ残っている。
他の全ての家が崩れたか、壊れた方がましな状態だった。

彼女が起き上がり、地面を見つめた時、男達は皆恐怖を感じた。
ハーボンタウンが、彼女の人差し指の先と同じ大きさだと、理解したからだ。
彼らは再び走り始めた。

大女の視線はハーボンタウンの上を当てもなく動いてから、自分の下腹部を見つめた。
目を閉じ、そして巨大な体でしゃがみこむ。
彼女がサンダルを動かした時、その下で捻り潰された岩石の砕ける凄まじい音がする。
男達は彼女の顔を見上げる。
彼らの何人かは、彼女がこれから何をするつもりなのかと想像していた。

彼女は足元の地面を見つめ、それから地平線を見た。
突然、彼女の太腿が大きく開かれた。
男達は彼女の下腹部がびくっと痙攣し、股間の巨大な秘部が収縮するのを見た。

彼らは理解した・・・。
今から、何が起こるかを・・・。

しゅ、ご、ご、ごおおぉぉーん!

雷のような轟音が、彼女の太ももの間から聞こえた。

信じられない大洪水が、ジェニーの股間から、凄まじい勢いで噴き出していた。

0.5秒後に、激流は地面に激突する。
直径600メートルの激流が、放物線を画きながら空を切って、町と村に叩きつけられる。
その力は、直撃された地面の形を変えてしまうほど強かった。


ビル街が、何千万トンもの水圧に瞬時に潰され、砕け散る。





そこにいた数千人もの人々が、抵抗する術もなく、ぐしゃぐしゃに潰される。

周囲に飛び散る小さな滴でさえ、スタジアムを一撃で粉砕する。
洪水の直撃を受けなかった家や車も、怒涛の奔流に巻き込まれ、押し流される。

なおも、熱いものがほとばしっている、ジェニーの両足の間から・・・。
その激流の力には、どんな物も抵抗できない。
衝撃の力によって、全ての物がばらばらに寸断され、地面は溶かされ流れ出す。

たったの1秒後に、大地は何kmもの大きさにえぐられ、巨大な湖が造られる。
すぐにそこから、彼女の膨大な量の洪水が溢れ出す。
そしてナイル川のような大激流が砂漠に出現し、近くの村々を潰しながら流れ始めた。
ビルの残骸と、ずたずたになった人々の体が、それに流されていく。

10秒後に、噴き出ていた激流は弱くなった。
そしてそれは最後に、ジェニーの腰に隠れて彼女に見えなかった農場に、
山のサイズの滴を落として、爆撃よりもすさまじい被害を与えた。


* * * * *


ジェニーは地面を見つめる。
流れる水・・・、小さな水溜まりと、小さな跡・・・。

もう一度ジェニーは腹筋に力を入れた。
彼女は股間から再びすごい勢いで水流を放出し、50km先までそれを飛ばした。
それは町の全てを水浸しにした。
何処に、どう飛ぶかなどと考えもしないで、彼女は次の水流を飛ばす。
村は湖に変えられた。
それから4回の強い噴出をして、ついにそれは終わった・・・。

ジェニーの表情は、彼女が何も考えていないようにも見えた。
しかし彼女の頭の中で、何かが、ぐるぐると回っていた。

それは巨大化して、ジェニーが初めて感じる罪悪感であった。


*****


ドーソン農場はボール紙のように折りたたまれて、
そこが以前、何であったのか、もう誰にも分からない状況だった。
農場主のドーソンは、彼の牛の全てが彼女の白いサンダルの下で
捻り潰されるのを見て、気が狂いそうだった。

彼は大女を見上げた。彼女は地面にしゃがんでいる。

信じられない大きさだ!!

「神よ・・・」
彼女のあまりの巨大さに、ドーソンは息を呑む。
白いニ本の太腿が地平線を隠し、巨大な腹部と乳房が空を覆いつくしていた。
雪崩のように、甘い香りが押し寄せてくる。

ドーソンは大女の両脚が、雲を渦巻かせながら大きく開かれるのを見た。
剥きだしの股間を隠そうともしない。
彼女の陰唇がきゅっと収縮し、やがて、ぱっくりと左右に開いた。

しゅご・ご・ご・お・お・お・ん・ん・ん!!!

ドーソンは、雷が鳴動するような音を聞いた。

ジェットストリームが、噴き出していた。

ハーボンタウンの町を振動させる大水が、はるか天空から地上に降り注ぐ。

「あの女、小便してやがるぅ!!」
彼は絶望のあまり叫んだ。

巨大女は、凄まじい音をたてて、股間から激流を放出していた。

大水が大地に激突し、きらきらと輝く飛沫となって空に飛び散る。
はるか遠くで、地上の全ての物が洪水の力でばらばらに砕かれ、押し流される。
巨大女の洪水による匂いが周囲を支配する。
ドーソンは怒りと恐怖に泣き喚いた。

激流は地面をえぐり、そこにあった家も車も、泥水と共に簡単に押し流す。
最初の大津波が彼の前に迫った時、すごく大きい岩まで彼の方に流されてきた。
すぐに急流はドーソンの方にも流れて来て、彼を飲み込んだ。
ドーソンは大洪水に押し流される。

彼は溺れそうになりながらも、その洪水の奇妙な温かさを感じていた。
はるか上空から地上に降り注いだにも関わらず、その激流は膨大な水量のため、
いまだジェニーの体温と同じ、人肌の温かさを保っていた。

冷たい川の水とは違う・・・女の肌と同じ温度の洪水。
生ぬるい水温は、ドーソンに自分が 「巨大女の洪水の中で溺れているのだ」 という
あまりにも残酷な現実を、はっきりと理解させてくれた。

激流の中で、ドーソンは生き残るために必死に泳いだ。
それでもドーソンは、まだ幸運なように思えた。
洪水の本流は、他の場所に向かっている。
流れがもっと激しくなる前に、彼は村の公会堂の屋根に登ることができた。
その建物は大きく、レンガ造りの壁は頑丈に造られている。
ドーソンは 「ここに登ってさえいれば、助かるかもしれない」 と考えた。

ずわ、ごごおおん、ずうおおおん!!!

轟音と共に、大女は下腹部に再び力を込め、新たなる洪水を噴出した。
それは違う流れとなり、一気にドーソンの住む村へと押し寄せてくる。
その激流に公会堂はあっけなく崩され、彼は凄まじい洪水の流れの中に再び投げ出される。
彼は急流によって翻弄され、どうすることもできずにもがいた。

気がつくと彼は、木材にしがみついて浮いていた。
それは壊れた家の屋根の一部だった。
ドーソンは大女を見つめた。
無慈悲な大女は平気な顔をして、いまだに大きく股を開き、洪水を放出し、
何万人もの人々を殺戮し続けている。

ドーソンは怒りと共に叫んだ。
「なんてことしやがる!!このあばずれ女!」

彼はできるかぎりの大きな声を上げたつもりだったが、
その声は、大女の股間から湧き出す雷が鳴るような轟音に、かき消された。

やがて無限に続くかと思われた水流も、だんだん衰えてきた。
最後に大波が、ドーソンのしがみついている屋根を壊した。
彼は流れの中に放り込まれたが、幸いにも水流はすでに減り始めていた。

しかし、無慈悲な大女は、股間より三度目の激流をほとばしらせる。
ドーソンは呆然とした。
高台にある彼の家は、それまで奇跡的に流されずに残っていた。
ところが彼女の新たなる噴出で、飛び散った巨大な水滴の直撃を受け、
彼の家は、轟音と共に砕け散ってしまった。

ドーソンは絶望の声を上げる。
普通の女性なら、こんな恥ずかしい事はできない。
それなのに、あの巨大女はわざわざ彼の村の上に来て、やっている。
羞恥心のかけらもない、なんという巨大女だ。
ドーソンは、大女が「遊んでいるのだ」と確信した。
彼女は狙った獲物におしっこを降りかけて、喜んでいるのだ。
ここにドーソンの家があることも知っていたに、違いない。

「うわあああああーーー!」
彼は最後の力を振り絞り、激流に逆らい、巨人の方へ泳いで行こうとする。
怒りに我を忘れていた。せめて一矢報いたい。
あのバケモノ女を、殴ってやりたかった。

農場を経営しているドーソンは、身長2メートルもある大男だ。
大地を耕す彼の体は逞しく、力も強い。
もし、ジェニーが昨日までの身長175センチの女性だったならば、
ドーソンは彼女をそこに押し倒し、好きなだけ陵辱できただろう。

しかし、現実に今のジェニーは身長70マイルの大女なので、
そのような想像に、何の意味もなかった。
ドーソンは奔流に玩ばれ、彼女とは反対の方向に流されて行く。

ドーソンはもう一度、彼女を見上げる。とんでもない大きさだ。
ジェニーの体は地平線と空を埋め尽くしている。
ドーソンは、彼女の足指の前に泳いでいく力もない。
たとえ、彼がジェニーの足指の前まで行き、彼女の皮膚を叩いたとしても、
その力は小さ過ぎて、彼女はくすぐったいとも感じないだろう。

はるか上空の二つの乳房の上に見える彼女の顔は、とても退屈そうで、
彼のことなど全く気がついていないようだった。
あまりにも巨大な彼女の存在を再認識し、ドーソンはどうしようもない無力さを感じる。

その時ドーソンは、彼女の陰唇が筋肉の力で歪められ、再び、左右に開くのを見た。
その裂け目は、正確にドーソンを狙っていた。
次の瞬間、巨大女の股間から最後の大洪水が猛烈に噴き出した。

ぐお、ごごおおん、しゅご、ごおおおん!!!

彼は恐ろしい噴出を見た。
凄まじい量のジェット水流が、彼のいる場所へ向かって飛ばされた。
彼はその直撃を避けるため、反射的に腕を上げる。
しかしドーソンの行動は全く無意味だった。

大女の放出した数百万トンもの最後の激流は、彼の頭上にまともに降り注ぐ。
摩天楼でさえ粉々に砕く水量だ。人間には抵抗できない。

ドーソンの体は、ほとばしり出る地獄の中で、瞬時に、ずたずたに引き裂かれた。
ジェニーが最後の放出を終えた時には、彼の体はもう何処にも無かった。


*****


ジェニーは地面の水溜りを見て、ため息をついた。
彼女にはちっぽけな水溜りだが、人間から見れば、それは深くえぐられた大渓谷だ。
大地はこれから何年もずっとこのままの無残な姿で残るだろう。
ジェニーは無意識のうちに、できるだけ人のいない場所を見つけて、それをやったのだが、
それでもよく見れば、村と何万人もの人々を押し流してしまっているようだ。

ひどい・・・いくら何でも、これはひどすぎる。
彼女の心に、今まで考えもしなかった罪悪感が広がっていく。
ジェニーはもう一度股間に力を込めたが、彼女の膀胱は空になったらしく、
滴だけが彼女の足の間に落ちた。

しかし、これで終わりではなかった。
ジェニーは一日に何回も、これをしなければならないのだ。

(どうしたらいいの・・・?) 彼女は心底うんざりする。
たとえジェニーが海の中でやったとしても、何平方kmもの海域を汚染し、
広大な浜辺を使用不能にしてしまう。
陸でやれば今と同じように町や村を破壊し、無数の人々を溺れさせてしまう。
隠れてできる場所など、世界の何処にも存在しない。

(仕方がないわよ・・・私だってやりたくて、やったんじゃないの。
逃げる暇くらいあったでしょ?あんた達が小さいから悪いのよ)

彼女は心の中で叫ぶ。
しかし、気分は晴れなかった。

気のせいか、これは、ジェニーがやってきた破壊の中で、
「一番、彼らに気の毒なことをした」 と、彼女に感じさせていた。
どんな人間でも、大女の放出した洪水の中で、溺れて死ぬのはイヤだろう。
人々は死ぬ瞬間まで彼女を憎み、罵り、泣き喚いたに違いない。

今となっては、もしジェニーが元の大きさに戻れる方法を見つけたとしても、
彼女は自分が小さくなることを、躊躇するに違いない。

これだけの大殺戮をしでかした巨大女が、普通の人間に戻った時、
人々が彼女を許してくれるほど寛大だとは、とても思えない。

ジェニーが小さくなれば、それを知った人々は彼女の前に殺到し、
彼女を捕らえ、再び巨大化する前に、なぶり殺しにするだろう。
ジェニーは信じられない苦痛の中で、死んでいくのだ。
殺気立った男達に囲まれたら、彼女は怯え、命乞いさえするかもしれない。

虫よりもちっぽけな男達に怯える・・・?
男の暴力を恐れる、無力な女になる・・・?

(・・・冗談じゃないわよ!)
考えるのもバカバカしかった。

そんな目に遭うくらいなら、もうずっと巨人のままでいる方が、はるかにマシだった。
ジェニーはようやく自分が、人生の全てを失ったことを、受け入れることができた。
しかし、彼女にはどうすることもできない。

ジェニーはこれ以上考えないことにした。
足指を少し動かしただけで、千人もの人々を町ごと潰してしまう時、どうしたらいいのか?
ジェニーのお母さんは、一度も彼女に教えてくれなかった。

ジェニーは立ち上がって、自分の服のある場所まで歩き、それを手に取った。
一息ついたジェニーは、喉が乾いているのに気がついた。
彼女は地面の山脈に目をやり、そこにある小さな湖を見つけた。
その湖は、14〜15歩くらい先にあり、ジェニーの目から見ても青く美しかった。

ジェニーは川を踏まないように、注意しなければいけなかった。
そうしないと、彼女の大切な水飲み場が濁ってしまうだろう。
彼女はゆっくりと歩いた。
そのため、ジェニーのサンダルがまたしても町を踏み潰した時に、
彼女はそれが気持ちいいとは思わなかった。

ジェニーは、ゆっくりと湖岸に足を降ろした。
そこにしゃがみ、膝の下で山を捻り潰し、両手を近くの農地に置いて体を支える。
大勢の観光客を泊めていたホテルとリゾート地が、彼女のまるっこい乳房に押し潰される。
湖では大波が発生し、ほとんどの船が転覆する。

ジェニーの唇が開き、真っ白な歯が見えた。
巨大モンスターのような、ピンク色の舌がうねっている。
それは湖の近辺にいた人々にとって、恐怖以外の何物でもなかった。
彼女は湖に唇をあて、ゴクゴクと音を立てながら冷たい水を飲み始める。

湖の中央で、転覆し沈没しつつあった帆船の一団が、大渦に巻き込まれる。
大型の遊覧船だけが、かろうじて持ちこたえていたが、
大量の水と共に、彼女の口の方に引き寄せられ、巨人の唇にぶつかり爆発する。
次の一飲みで小さなボートさえ全て、ジェニーのお腹の中へと飲み込まれる。

船に乗っていた人々の全員が、湖面に投げ出されていた。
彼らは泳ぐ時間さえ与えられずに、巨大な口の中に吸い込まれる。
ジェニーの口腔の凄まじい激流。
人々は、船の残骸と共に、ずたずたに引き裂かれ命を失った。

彼らにとっては、その方が幸せだったのかもしれない。
人々が生きていたとしても、彼らはジェニーの底なしの胃袋に飲み込まれる運命しかない。
彼女の胃の中は、小さな彼らにとって脱出不可能な暗黒の神殿だ。
そこで彼らは、大量の水によって薄められたジェニーの胃液に溺れ、
暗闇の中で恐怖に泣き喚きながら、ゆっくりと溶かされ、消化されるしかないのだから。

次の5回のがぶ飲みのおかげで、ジェニーの渇きは癒された。
しかしその時には、湖はほとんど空になっていた。
立ち上がったジェニーは、次の問題を考えてため息をついた。
彼女は何かを食べないといけない。
しかし、彼女の朝食は何処にも無い。
ジェニーは自分の運命を理解した。彼女は飢えて死ぬだろう。

ジェニーは先のことを考えないようにした。
彼女は周囲を見回した。これからどうしたらよいか本当に分からなかった。



(最終話に続く)




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