誘 拐 U (1)


                        みどうれい

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 その日、俺は上機嫌だった。
俺の撮影した写真が、ちょっとした特ダネ記事になったのだ。
いつもはしぶい鬼山編集長も褒めてくれて、特別ボーナスが出た。

 久しぶりに、懐があったかい。 当然、気分もいい。

 明日は休日だ。 それで俺は、携帯で夕子を呼び出した。
嬉しいことに、夕子は「残業が終わり次第行く」と、約束をしてくれた。
もちろん今夜俺は、夕子とたっぷり「むふふな事」をするつもりだ。

「遅くなりそうだから、先に食事しといて。」
 夕子がそう言ったので、俺は軽く夕食をすませた。
本当は、二人でディナーをしたかったのだが仕方がない。

 もうすぐ約束の時間だな・・・。
俺は、駅前の待ち合わせ場所で時計を見た。



 その時、俺はふいに頬に焼けつくような視線を感じた。
視線を感じる方向に顔を向けた俺は、息を呑んだ。

 ものすごい美人が、俺の方を見ていた。
職業柄、モデルの女の子を何人も見ているが、彼女ほど魅力的な女性は、初めてだった。

 彼女は俺から目をそらすと歩き出した。
俺をじっと見ているような気がしたのは、気のせいだったらしい。
それでも俺は、彼女の方を見続けた。

 彼女は女性にしては、かなり背が高い。
彼女が歩くと、豊かな胸が、ゆっさ、ゆっさと揺れる。
バストサイズは100cm・・・いや、それ以上はありそうだ。

 彼女の姿は目立つのだろう。
すれ違った男達の何人かが、振り返って彼女を見ていた。

 彼女が俺の方に歩いてきたので、俺は彼女の姿をもっとよく見ることができた。
彼女の髪の毛は、夜の街灯の光をうけて、きらきら輝いていた。

 彼女のなまめかしいヒップを隠している短いスカートの下から、
美しい脚が長く伸びていて、太ももは艶っぽく膨らんでいた。
ウェストもきゅっとくびれている。 彼女は抜群のプロポーションだった。

 だが本当に俺を驚かせたのは、彼女の胸から突き出す豊かな肉の山だった。
それは、彼女のブラウスの上からでも、大きくふくらんでいるのがよく分かった。

 日本人離れした身体だ。
俺は、彼女から目をそらすことができなかった。


 彼女は俺の前まで来ると立ち止まり、俺に微笑みかけてきた。
俺は驚いた。 彼女は俺を知っているのか・・・?

 目の前で見ると、彼女の美しさは際立っていた。
全身から、凛としたオーラを放っているようだ。

 彼女は、身長180センチの俺と同じくらいの背の高さだったが、
12センチくらいのヒールの高い靴を履いていたため、俺よりもずっと背が高く見えた。

 俺の目の前に、彼女のふくよかな胸が迫る。
うぅ、すごい巨乳・・・。 ぷるんぷるん揺れているよ。

 俺は、ばかのように彼女を見つめた。


「ねぇ、ちょっと来て。」
 いきなり、彼女はそう言うと俺の腕を掴み、そのまま歩き出した。

「え、え、え!?」 俺は驚いたが、そのまま彼女に引っ張られて歩き出した。

 何か言おうとした俺の腕に、突然「むにゅっとしたもの」を感じる。
彼女が両手で俺の腕を掴み、そのふくよかな胸に押し付けたのだ。

 う、う、たまんないよ・・・。
こんな美人に腕を組まれるなんて・・・、俺はぼっとなってしまった。
誰かが俺の顔を見たのなら、きっと、俺がにやけているのに気がついただろう。

 誰なんだ、彼女は? 俺は彼女に会った記憶がない。
それが、いきなりこんな大胆なことをするなんて・・・、彼女は明らかに俺を誘っていた。
はっきり言って・・・嬉しい。

 だが、俺は喜びながらも、別のことも考えていた。

 学生時代、空手をやっていた俺は、多くの試合をした。
そのため、組み合っただけで相手の実力を、ある程度感じとることができる。

 彼女は俺を掴んだ腕に、ほとんど力を入れてはいなかったが、
俺は、彼女の身体から、今まで俺が感じたことのないパワーを感じた。


 この女・・・、普通じゃない。 俺の直感が告げていた。
いっしょに行くと、何かとんでもないことが起こるような気がする。

 それに、こんなところを夕子に見られたら、えらいことになる。
俺は、彼女の手を振りほどこうとした。

 だが、俺は彼女のふくよかな胸の感触から身を離すのが、もったいなくて、
そのまま、彼女に引っ張られて歩いた。

 ブラウス越しだったけど、彼女の巨乳の感触は・・・、とても気持ちが良かった。

 後で考えれば、これが運命の分かれ道だったのだが、
もちろんその時の俺は、そんなことを知るよしもない。


 そのまま俺は彼女に引っ張られて、路地裏に入った。
彼女は俺から腕を離すと、周囲を見回した。 ここには誰もいないようだ。

 俺が何か言おうとした時に、彼女から声をかけてきた。
「私はあなたを私の部屋に、招待してあげることにしたの。」
 彼女がそう言った時、俺はぽかんと口を開けた。

 あれほど積極的なことをしてくるのだから、ある程度予想はしたが、
見知らぬ女性に、いきなりこう言われては驚いてしまう。


 冗談を言っているのか? しかし、彼女は本気みたいだ。
はっきり言って嬉しいぞ。 ・・・夕子に何と言おう。 いや、やはり何か変だ。

 俺の頭の中でめまぐるしく考えが走っている時、彼女は俺に右手をかざした。
まばゆい閃光が、俺をつつんだ。

 突然、大地が無くなった。
「うわっ。」 俺は、びっくりして声を上げた。



落ちる、落ちる! 落ちるよー!!!
 俺は声にならない悲鳴を上げた。
地面に叩きつけられると思ったが、その落下するような感覚はすぐになくなった。

 おそるおそる目を開けると、俺はやけに広いところにいた。
さっきと風景が変わっている・・・。 頭がぼんやりする。
おかしい・・・。 明らかに俺は十mくらい落ちたような気がしたのだが。

 目の前に、何か黒い巨大な物があった。 俺には、それが何か分からなかった。

 俺は自分に起こったことを思い出していた。
さっき俺は明らかに地面に落下した。 しかし、俺の足は大地を踏みしめていた。

 奇妙なことに、右足の下の地面は右に走り、左足の下の地面は左に走っていった。
地面がそれぞれ反対の方向に動くとは・・・、こんなおかしな話はない。

 まるで・・・、俺の両足の間隔が急に狭くなったようだ・・・。
だが、そんなことが起こる筈はなかった。


 俺はもう一度目の前にある物を見つめた。
それが何だか気がついた俺は、もう少しで腰を抜かすところだった。

 それは、パンプスを履いた女の足だった。 車と同じくらいの大きさの!!

 俺はよろめいて、巨大な白い柱を見上げた。
その柱は俺の頭よりも高い足首から、巨大な青い天井まで10メートルも伸びていた。
それは巨大で引き締まった女の脚だった。

 俺の頭の上に見えている青い天井が、彼女のはいているパンティーだと分かった時、
俺は恐怖の悲鳴を上げた。


 女だ! 巨大な女の子だ!!
今の俺は、彼女のスカートの中を見上げるほど小さかった。


 彼女は突然巨大化した。
いや・・・違う! 俺が小さくなったのだ。
広くなった周囲の風景を見た俺は、それを理解した。

 彼女の行動から考えて、彼女が魔法のような力で俺を小さくしたのだろう。

 目測だが、俺が背伸びをしても巨大な彼女の足首くらいまでしか手が届かない。
彼女は12センチくらいのヒールの高いパンプスを履いていたから、
今の俺の身長は15cmくらいか・・・。

 身長15cm!!!
俺は、ショックで気が遠くなりそうになった。

 突然、頭上に大きなものが迫り、温かくて柔らかい物が俺にぶつかった。
俺の体は、何か巨大な物に捕まえられた。

 俺の腕は簡単に俺の身体の横に押さえ付けられた。
あまりの強い力に、俺は呼吸をすることさえできない。
彼女がしゃがんで手を伸ばし、俺の小さい身体を掴んだのだ。

 俺は、空高く持ち上げられた。
俺は、巨大な手に子供の玩具のように握りしめられていた。

 彼女が、俺を子供の玩具のように持ち上げている時、
俺は完全に無力で、ただ悲鳴を上げることしかできなかった。

 信じられないくらい巨大な女性の顔が俺を覗き込んでいた。
ビルの看板のように大きな女性の顔・・・。

 彼女の甘い吐息を、全身に感じる。

「うわぁ、うわぁぁぁぁぁぁ!」
 俺は無茶苦茶に暴れて悲鳴をあげた。
俺の人生で、本気で悲鳴を上げるのは、おそらく初めてだろう。

「ごめんなさい…、でも、私はあなたの身体が欲しいのよ。
 彼女の声が響いた。 俺の全身を震わせるような声だ。

 完全にパニック状態になった俺は、彼女の言っている意味がよく理解できなかった。

 俺が絶叫した時、彼女は笑って、俺を握り締める手の力を少しだけ緩めてくれた。
彼女は、俺が呼吸できないと可哀想だと考えてくれたのか・・・。

 俺は自由になろうともがいた。
しかし、力が緩んだとはいえ、彼女の巨大な指はびくともしない。

 俺は、彼女のすばらしい顔を見た。
彼女はこんなに大きいにも関わらず魅力的だった。
若さと美しさに満ち溢れていた。

 そして、豪華なピンク色の唇は、俺に微笑んでいた。
幅10cmもありそうな唇の間からは、白い歯が見えていた。
彼女が口を開けば、俺を簡単に食べることができると理解した俺は、気が遠くなる。

 俺は彼女の手に捕らえられ、小鳥の雛のような無力さで、暴れた。
しかし、彼女は俺の抵抗などを気にもせず、何故か戸惑っているような顔をしていた。

 後になって気がついたのだが、
彼女は俺を閉じ込めるバッグを持って来なかったことに気がついて、困っていたらしい。

 やがて、彼女はブラウスのボタンを開き始めた。
彼女は、何をしているのだ・・・。 俺は焦った。

 彼女は胸元を大きく開いた。

 ぶるるん!!
山のような大きさの乳房がまろび出た。

 レースの模様があるブラジャーが、なんとか彼女の乳房を覆っていたが、
彼女の肉山は大きすぎて、ブラの中からはみ出しそうだった。

「す、すごい・・・。」 ものすごい大きさの胸に俺は息を呑む。
 彼女の胸は、まるで自分の意思があるかのように、ぶるんぶるんと揺れていた。

 彼女は開いている手で、その谷間を少し広げた。
今の俺の大きさなら、そこにすっぽりと入ってしまえる。
すぐに、俺はその谷間の前に運ばれた。


 俺の目の前で、巨大なバストが左右に大きく開く。
ものすごいスペクタクルだ。

「うわあぁ!!」 今からどうされるか分かった俺は、悲鳴を上げた。
 彼女は、俺を胸の谷間に放り込むつもりらしい。


「な、な、何を考えてんだよ! この女は!!」
 恐怖の中で、俺は焦った。

 彼女が俺を小さくした理由は分からなかったが、
いきなり男を自分の胸の谷間に挟み込むとは、無茶苦茶だ。

 彼女の巨乳は大きすぎる。
片方の胸でさえ、俺の数十倍の重さ、いや、へたをすると百数十倍は重いかもしれない。

 こんなに大きなバストの谷間にねじこまれたら、俺の身体はひとたまりもなく潰れるだろう。

「やめろー!!」 俺は悲鳴を上げた。
 しかし、彼女は俺の無力な抵抗をただ笑って、彼女の巨大な胸の谷間に俺を放り込んだ。


 彼女の巨大なバストの谷間は、俺の小さな身体を簡単に飲み込んでしまった。
「潰れるーー!!」 俺は恐怖に引きつった。

 巨大な肉山が、俺の全身を両側から圧迫する。
しかし、ありがたいことに、彼女の巨肉の肌は柔らかく、すぐに俺を潰す事はなかった。

 おかげで、俺はそれほど痛いとか苦しいとは、思わなかった。
しかし、俺が囚われていることは間違いない。

 頭の上の方で、何か巨大なものが擦れる音がする。
彼女が、俺を放り込むために外したブラウスのボタンを、また閉めているのだ。

 俺は焦った。 このままでは、完全に彼女の服の中に閉じ込められてしまう
だが、俺の力では、彼女の深すぎる谷間を、押し広げることは不可能だった。

 女の子のバストの谷間に放り込まれても、抵抗することができないとは!!

 俺は本当に、自分が身長15cmの非力な小人であることを実感した。
俺は、ただ悲鳴を上げ、彼女の巨大な肉山を全身に感じるしかなかった。


 俺は、突然大きな揺れを感じた。 彼女が歩き出したのだ。
同時に左右から巨大な肉山が、俺に迫ってきた。

「どっしぇー!!!」
 俺は、彼女の胸の谷間でどうしようもなく暴れた。

 彼女が一歩前に踏み出すたびに、彼女の乳房もぶるるんと揺れて、俺を圧迫する。

 だが、これほどまで巨大な肉山に圧迫されたにも関わらず、何故かそれほど痛くなかった。
しかし、恐怖に耐えられなかった俺は、必死でもがいた。

 冷静に考えれば、彼女の胸元から飛び出しても、彼女に捕まるか、
十数m下の地面に叩きつけられるだけなのだが、俺はとにかく夢中でもがいた。

 彼女の肌はとても柔らかかったので、俺が全力で押したら、わずかにへこんでくれた。
しかしある程度までいくと、弾けるような肉に、俺の力は押し返されてしまう。
彼女の胸のすぐ下には、おそろしく強靭な筋肉が存在していた。

 俺の抵抗は、巨大な彼女には全く無意味だ、俺は焦った。
だが、俺の非力な力を、彼女は感じることはできたらしい。

 しばらくすると、突然、彼女は立ち止まった。
俺は、彼女が荒い息をしているのに気がついた。

 彼女がどうしたのかは分からなかったが、俺はなおも暴れた。


 その時、俺はとんでもない圧力を感じた。
彼女が俺を挟んだまま、ふくよかな胸を、両手でぎゅっと締め上げたのだ。

 ものすごい乳圧だ。
「うわーーー!!!」 俺はどうしようもなく、悲鳴を上げる。

 彼女の声が響いた。
「静かにしなさい。 さもないと、あなたを私の乳房でもみ潰してしまうわよ。」

 俺は恐怖に引きつった。 彼女は嘘を言っているのではない。
彼女がその気になれば、簡単に俺を潰してしまうことができる。
俺の身体は恐怖のため、ぴくりとも動かなくなった。

 俺が静かになったのに気をよくしたのか、彼女は嬉しそうに言った。
「そう、いい子ね。後でご褒美をあげるからね。」



 しばらくして、彼女は、また歩き出した。
どうやら、俺を何処かへ連れていくつもりらしい。

 だが、俺はショックに呆然としていた。
俺の頭の中には、彼女の言葉がいつまでも、響いていた。

乳房で揉み潰す・・・・・。
乳房で揉み潰す・・・・・。
乳房(ちぶさ)で揉み潰す・・・・・。


 そんなことを女の子に言われたのは、はじめてだった。
俺は、女性の胸の谷間で潰されるような非力な小人になったのだ・・・。


 彼女がくすくすと笑っているのが聞き取れた。
彼女は、俺をいったいどうするつもりなのだろうか??










 それにしても・・・、普通、女の子は・・・、





 自分の胸のことを、乳房ちぶさ)なんて、露骨な言葉で言わんぞ!! 絶対に!



 俺は薄れていく意識の中で、彼女に「どーでもいいつっこみ」を入れた。







小説置き場に行く めくる