《 この世界は「えっちなおねえさん」のモノになりました 》 10

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第10章 元カレ雷太との再会


(亜理紗の元カレ雷太の視点で)

雷太は必死で瓦礫を持ち上げていた。
巨大モンスターの出現した街、人々のほとんど全てが混乱し逃げ惑っている。
そんな中でも、命の危険を考えずに自分の利益(欲望)だけを考える者がいた。
雷太もその1人である。

突然の巨大モンスターの出現で都市が大きく震動する。
その時、雷太はATM(現金自動預け払い機)に並んでいた。
凄まじい揺れと共に、天井の一部が崩れ、電気が消える。
そこにいた20人以上の人々が、出口に殺到する。

最初は雷太も逃げようとする。 だがすぐに考え直す。
雷太は都市に巨大モンスターが出現したと、何故か理解した。
命の危険を感じた人々は逃げていった。

だが雷太は逃げない。 
照明の消えたATM(現金自動預け払い機)コーナーで1人じっとしている。
一般的なATM機種だと「2000万円くらい」の現金が収納されていると聞いた事がある。
それならばこれは絶好のチャンスでは。

ATMコーナーの惨状は酷いものだった。
巨大モンスターの動いた衝撃で、駅前のATMコーナーの半分が崩れ落ちている。
しかし、半分は無事なのだ。
瓦礫を取り除いてみると、現金自動預け払い機の一台が破壊されて、多額の金が露出している。少なく見ても600万円はある。

金だ! 金だあ!
正社員として就職できなかった雷太は、今の社会が好きでなかった。
雷太は地面に散らばった金を、自分のバックに入れる。
大きめのバック持ってきていて正解だった。

外に出て自分の車に置いてあったバール(鉄製の棒の大工道具)を持ってATMコーナーに戻る。いつか必要になるような気がしていた。やはり持っていてよかった。
監視カメラが壊れている事を確認、警報装置も作動していない。 千載一遇の好機。 他のATMからも金を取り出すのだ。金に対する欲望が雷太に怪力を与える。

5つの現金自動預け払い機を破壊しようとする。
しかし、さすがに機器は頑丈で、金のほとんどが取り出せない。
瓦礫の下敷きになって完全に破壊されていた機械から金をとる。
それでも2千万円はあるだろう。
「がはははははっ!」 雷太は豪快に笑う。
これだけ金があれば、当分、楽しい生活ができる!

罪悪感など無い、雷太も普通に働いて仕事をして家族を持ちたかった。
しかし、彼にはいい就職先がなかった。
恋人だった亜理紗も愛想をつかしたのか、もう連絡できない。

そうだ社会が悪いのだ。 俺が悪いんじゃない。
この金はどうせ誰かが盗んでいくだろう。ならば俺が金をもらって何が悪い。
これだけの金があれば、元カノの亜理紗も帰ってきてくれるかも・・・。
亜理紗には友ヤメされたけど、まだ未練があった。
あんなイイ女はいない、もう一度会いたい。

雷太はカバンに金を入れ外に出る。
後は自分の車で脱出すれば終わりだ。

ズドドドオオオオン!!!

金の入ったバックを手にして外に出た雷太は、凄まじい衝撃に吹っ飛ばされる。
目の前を見て驚愕する雷太。 足だ! 足!

それも超特大の女の足だ!!






驚愕する雷太。
そうだった、ATMコーナーにいた20人くらいの客がすぐに逃げた理由・・・。
それは自分の命が危険だったからだ。

俺はバカだった、火事場泥棒のように銀行の金を盗み、その罰として怪物に踏み潰されるのだ。
もういい、もういいよ、 俺は人生を真面目に生きてこなかったんだから・・・。
そうだよな、いくら何でも外道すぎる。都市が混乱している時に、金を盗むなんて・・・
もう俺はダメだ。 覚悟を決める雷太。

その時、天空から巨大な女の声が響く。

「雷太・・・なの?」

えっ・・・? 雷太は巨大モンスターを見あげる。



あまりにも大きい女の足・・・。

大きく顔を上げて巨大な女を見あげる。
はるか天空の彼方。
凄まじい超巨乳のため、巨人女性の顔を見上げる事は困難だったが、
はっきりと分かった。

亜理紗だ!
雷太の恋人だった亜理紗がそこにいた!
再び亜理紗に会いたいという彼の願いはかなえられた。
しかし、サイズが問題だった。
彼女は身長500mの巨人となって、都市にそびえ立っていた。

巨大な亜理紗の声が響く。
「雷太ちゃん〜、
アンタは何をやってるのかな?
まさかと思うけど、人のお金を盗んでいないよね」





(続く)










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