巨大美少女ミカ (9)

           (不運な泥棒 改題)

                           NEW2さん みどうれい作

第一部 不運な泥棒(その9)

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「ふぅー。」
 一仕事終えたリィナは、部屋の豪華なソファに座りため息をついた。
リィナは今まで、彼女たちの母親が造った『結界』を、内部から補強していたのだ。

 彼女たちの屋敷には、人の世界に遊びに行けるよう、異次元の通路があった。
もちろんその異次元通路から、こびと達がぞろぞろ入ってきたらリィナも困る。
そうならないように、そこには彼女達の一族しか入れないように結界がはられていた。

 リィナはその結界を締めなおし、こびともミカもこの屋敷から出られないようにした。
自分の妹を屋敷に閉じ込めるような行為をするなど、あまり気が進まなかったが、
リィナは、事態を冷静に把握していた。

 2年ほど前、リィナもオトコが欲しくてたまらない日があった。
どうにも我慢できなくなった彼女は、巨人の姿のまま人の街に飛び出そうとした。
母親の麻痺術で意識を失わされ、なんとか一ヶ月ほどで冷静に戻ったが、
彼女は、その時の体の奥から突き上げてくる衝動を、よく覚えていた。

 あの時、彼女は、何を望んでいたのか・・・?
彼女は手当たり次第に、こびとたちを捕まえて、彼らを玩ぶつもりだった。

 彼女は自分のカラダの内から沸き起こる衝動を、どうしても押さえることができなかった。
そんなことをすれば、こびと達がどうなるかなど考えもしなかった。

 それから、リィナは、ミカが寝室でこびとにしていることを想像して、顔を赤らめた。

 これは、リィナの予想であるが、
ミカは本来の目的であった『種族保存』のため、子供を作るという行為をする前に、
ただ彼を玩具にして遊んでいる可能性が高い。

「何故、そんなことをするのだ。 (?_?)」 と、聞かれても困る。

 巨大な女性は、こびとを玩ぶものなのだ。 理由など無い。
それは、2年前暴走しかけたリィナ自身が、よく知っていた。

 始末の悪いことに、巨大な彼女たちは少々のことでは満足しないらしい。
リィナは、こびとに結界をはった時、彼が簡単には疲れないように配慮したが、
それでも、巨大なミカが本気になったら、非力なこびとはすぐに降参してしまうだろう。

 そうなった時、こびとを玩ぶ快感を知ったミカは、どうするだろうか?
彼女は、新たな生贄を求めて、『人の街』に行こうとするかもしれない。
もしそうなれば、リィナは彼女を止めなければならない。

人の世界に干渉してはいけない。
人を傷つけてはいけない。
自分たちに、どんなに力があっても・・・。  これが彼女たちの掟だった。

 誰がいつ決めたのかは知らない。
しかし、リィナはこの掟を守らなければならない。

 彼女たちの屋敷に不法侵入した同族のこびとと遊ぶくらいなら、大目に見てもいいが、
母親が留守の今、妹が暴走して街に行き、人に危害を加えるようなことをするのなら、
リィナは、ミカと闘わなければならない。

「ミカ、お願いだから、自分を見失わないでね。」
 リィナは祈るような顔つきで、妹の寝室の方に目をやった。

 しかし、彼女は、まだ事態を楽観視していた。
パワーレベルで言えば、リィナの力は妹よりもはるかに強い。
強化した結界もあるし、ミカが暴走してもリィナは簡単に止められると考えていた。

 しかし、彼女は知らなかった。
こびとを玩ぶ快感に目覚めた妹は、無意識のうちに力を望み、急速にパワーアップしていたことを。

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「うーむ・・・。」
 島の海岸で、精悍な顔つきの一人の男が、空を見上げて唸っていた。
彼の名前は、江井 波舞雄(えい はぶお)。 第二こびと丸の船長だ。
 波に舞うと書いてはぶお(波舞雄)とよむ。 少々センスを疑う名前だが、
代々漁師をしている彼の父親が、海の男になってほしいと考えてつけたらしい。
 その願いが天にとどいたのか、彼は小さいころから海が好きだった。
父親の第一こびと丸で、十数年働いた彼は、30歳になった今年、
あちこちで金を借り、第二こびと丸を造り、船長になった。

 『漁師は、体が資本である。』という彼の考え方により、彼は母校「戦国高校」で、
自分の好きな体育会系のクラブに属していた卒業生たちを、船員にスカウトした。
 そして、何人かが、波舞雄の熱意に説得され協力してくれた。
そのため、第二こびと丸の乗組員のほとんどが若く
メンバーを見れば、漁師というより、高校生が修学旅行に来たという感じだった。
 このような経験がほとんど無い人員で、海に出るなど、正気の沙汰ではなかったが、
若さと勢いをたよりに、第二こびと丸は借金を返すべく、港を後にしたのだった。

 ところが、その日いきなり嵐に巻き込まれ、第二こびと丸は見知らぬ島にたどり着いた。
座礁しないように、珊瑚礁がある砂浜は避け、海底の深い岩場の海岸に船を停泊させが、
彼らにはここが何処だか見当もつかなかった。 幸い嵐はおさまった。
 とりあえず、船長たちがエンジンの修理を行い、島に人がいる可能性もあったので、
他の若い船員たちが、助けを求めに海岸線沿いに捜索をすることになった。
若い船員たちは、お世辞にもあまり頭がいいとはいえない面々だったが、体力はあった。
 皆、高校時代、部活のラグビーやサッカー、アメフトで体を鍛えていた。
彼らは切り立った岩場をらくらくとよじ登り、島の探索に向かった。

 しかし、雲がきれ夜空が見えた時、波舞雄船長は、奇妙なことに気がついた。
星の配置がおかしいのだ。
久太郎は夜空を見てきれいだと思っただけだったが、漁師の彼は違う視点からそれを見た。
航海技術が進んだ現在でも、漁師たちは、夜空の星を見て方角を知るということをやっていた。
 ところが、この島から見る星座は、どれも見たことがないものだった。
そう言えば、暗くてよく分からなかったが、この島の植物も何か変だった。
「どうなっているのだ?」 彼には説明がつかなかった。

「修理が終わったぜ、いつでも出航できる。だが無線は通じない。船の位置も特定できない。
原因は不明だ。このままでは母港の方角も分からん。 どうする。船長?」
 船長が、片腕と頼む乗組員の二毛山(にげやま)が、声をかけてきた。
事実上、乗組員でまともな操船ができるのは、波舞雄を除いて二毛山だけだった。

 波舞雄が喋ろうとしたその時、「ぎゃー!」とか「うわー!」とかいう悲鳴がして、
向こうから、島の捜索に行った船員たちが、血相を変えて走ってきた。

「な・・・、なんだ?」 波舞雄は、彼らの一人に声をかけた。
「おい、どうした、何があったんだ?」

「た、たこ、蛸、おおダコがぁ。」 船員の一人が、ガタガタ震えながら言った。

「タコ? 蛸がどうした。」 波舞雄が尋ねた。

「海から、でかい、おおダコが出てきて、逞夫(たくお)の奴をさらっていったぁ。」

「はぁ・・・?」 波舞雄は思わず絶句した。

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「ようするになにか。お前たちは何か変なモノに驚いて、逞夫を見捨てて逃げてきたのか?」
 波舞雄船長は、不機嫌だった。 

「ゴジラが出た」とか「いや、前世紀の恐竜だ」とか「いや、大きな女の子だった」
とか、勝手なことを喚いている船員たちに、波舞雄は怒鳴った。

「静かにせんか! お前ら、それでも海の男か。 本当に情けない。」

「で、でも・・・。」 船員の一人が、反論しようとした。
 船員たちは、みんな鍛えられた肉体を持っていて、喧嘩も強く、少々のことでは驚かない。

 しかし、さっき『大きな影』を見ただけで、みんなすぐに走り出した。
それは、何であるかなど確認する気もおこらないほど、恐ろしかった。
理屈ではない、皆、本能的な恐怖を感じ逃げてきたのだ。
だが、それを見ていない船長に、説明することは難しかった。

「今から、逞夫を助けに行くぞ。」 船長の発言に、若い船員たちは飛び上がった。
 冗談ではない!! あれは絶対に、漁師の自分たちが相手にできるようなモノではない。
はやくこの島を出て、自衛隊でも呼んでくるしかない。 彼らは口々にそう言った。

 しかし、船長に「海の男は、仲間を見捨てないのだ。」と言われては、彼らも黙るしかなかった。
みんな、自分が事故にあった時、仲間に見捨てられるのはイヤだった。
それに、もしかしたら、あの化け物はもうどこかに行ってしまったかもしれない。

 結局、船長と「志願した3人の船員」が救出に行き、他の者は船で待つことになった。
念のため、船長は副長格の二毛山と携帯電話をつないだままにして、
もし危険を察知したら、すぐに船を出航させるように、彼に指示をした。
 そして、船長と3人の船員たちは、海岸沿いに異変が起こったという現場に向かった。

 この時、船長は「これは男をあげるチャンスだ」と考えていた。
嵐とはいえ、むざむざ船を遭難させた自分を、若い船員たちが軽く見るのではないか。
ならばここで、仲間を見捨てない頼りになる船長ぶりを見せておきたい、
彼はそう考えた。
 皆、バケモノが出たと言っているが、どうせ風で木が揺れたのを見間違ったのか何かだろう。
夜の島を歩く彼は、全然心配などしていなかった。

 しかし、結果として言うなら、船長の認識は、甘かったと言わざるを得ない。

 彼らが行く道の先には、船長の想像を絶する女巨人が、彼らを待っていたのだ。

@@@@@@@

「ふふふ、こびとさん。もうダウンなの?」

 第二こびと丸の乗組員たちが、逞夫捜索に向かった時、
ミカは砂浜にある巨大なテントの中で、二人の「生きた玩具」で遊んでいた。

 一人は、自分の住んでいる家に忍び込んだ泥棒、久太郎。
もう一人は、島に漂着してしまった第二こびと丸の乗組員、琢磨田 逞夫(たくまだ たくお)
ミカは二人から見れば途方も無い巨人だったのだ。

「う……ぐ……。」
 久太郎はミカの巨大なバストの間にはさまれ、
両側から巨大な肉の塊に潰されそうになっていた。

 ミカは自ら捕まえた二人目のこびと、逞夫を右手に持ち、遊んでいた。
逞夫は、体力自慢の乗組員の中でも力の強い方だったが、巨大なミカの相手ではなかった。
彼女の指一本ですら、逞夫の鍛え上げられた分厚い胸板を有するウェスト以上なのだ。

「畜生、化け物め、放せ!!」
 ミカにわしづかみにされた逞夫が叫ぶ。

「ふ〜ん。私の事そう思ってるんだ。」
 ミカはそう言うと、こびとを握る力を、少しだけ強くした。

「うわぁぁぁぁ!」
 ものすごい力が逞夫を襲った。

 ついさっきまでは、ミカの巨大な指も彼の力でわずかに動きはしたが、
今は、逞夫がこの状態から逃れようと、体全体に力を入れようが、まったく動く気配は無かった。
彼は、自分の身に起こっていることが信じられなかった。

 逞夫には、故郷にガールフレンドがいた。 
同じ年齢の彼女は、逞夫より頭ひとつ分くらい身長が低く、華奢な体つきだった。

 彼らは、二人っきりになった時、よくふざけて、互いにじゃれあったりした。 
そんな時、鍛え上げられた肉体を持つ彼は、彼女を簡単に押し倒してしまうことができた。
逞夫の太い腕の力の前に、彼女はぜんぜん抵抗できなかった。

 彼は、自分の逞しい肉体が、誇らしかった。
だから、彼にとって、女の子は可愛い守ってあげる存在だった。

 それが今、自分は、巨大な女の子の手に握られている。
渾身の力を込めて押し戻そうとしても、彼女の巨大な指は、びくともしない。
彼の人生の中で、これほどの無力感を味わったのは、初めてのことだった。

「こびとさん。このまま握りつぶしちゃおうかなぁ。」
 巨人の無情な声が響いた。 逞夫はどうすることもできずに、悲鳴を上げた。
しかし、突然指の力が緩み、彼は手の上に乗せられたまま巨人の顔の前に運ばれた。

「どうしたの、こびとさん? 私は、ほとんど力なんて込めてないのよ。」
 巨人ミカは、くすくす笑っていた。
それから、彼女は口をすぼめて、彼にふっと『息吹』を浴びせた。
逞夫は、その全身に、甘い香りのする疾風を感じた。

 彼は知らなかったのだが、ミカは今、彼の体にも結界の術を使ったのだ。
姉同様に優秀な母親の血を引いているミカは、
姉がかけた結界の術を一回見ただけで、そのやり方をほぼ完璧に理解したのだった。

 ミカは、逞夫を握り潰すとか口では言ってはいたが、
可愛い二体目のこびとも、潰してしまうつもりなどなかった。

「ふふふふ、あなたには、もう少し、レッスンが必要みたいね。
 彼女は、そう言うと両手の指を使って、小さな逞夫を玩び始めた。
ミカのしなやかで強い10本の指は、縦横無尽に動き、彼を好きなように扱った。

 彼女は、彼の両足を摘んで逆さ吊りにしたり、手のひらの上で転がしたり、
彼の逞しい胸を指先で突っついたり、ゆっくりと握り締めたりもした。
時たま、彼を彼女の口元に運び、舌先で彼をついばんだりもした。

 非力な逞夫は、どうすることもできずに、ミカの指に玩ばれるしかなかった。


「そ、そんな・・・。」
 巨人が彼に息吹を吹きかけたのを見た時、久太郎は驚きの声をあげた。

 久太郎は今、巨大な肉球に下半身を囚われて、顔と腕だけを外に出していた。
何故か彼には、今、巨人が結界の術を使ったことが分かった。

 確か、もう一人の巨人が「あなたには術が使えない。」という意味のことを言っていた。
それなのに、彼女は、短時間の間に、この技を習得してしまったみたいなのだ。

 おかげで巨人に捻り潰されないのだから、ありがたいと言えば、ありがたいのだが、
考えてみれば、これは凄くオソロシイことだ。

 それは、すなわち、(久太郎が先刻危惧したように)彼女は結界の力を緩めたり、
強くしたりすることにより、久太郎の体に、いくらでも耐え難い苦痛を与え続けられることになる。

 そして、彼女がそうしようと決めたら、彼がどんな方法を使っても、彼女を止められない。
無茶苦茶しまくってはいるが、彼女は、今、ただ遊んでいるだけらしい。

 しかし、もし、彼女を本気で怒らせたりしたら、久太郎はどんな目にあわされるのか?
彼は自分にされるかもしれない恐ろしい拷問を想像して、思わず身震いをしてしまった。
 
「ふふふふ、こびとさん、楽しんでいてくれているのかしら?
待っていてね。 次は、あなたの番だから・・・。」 巨人の声が響く。
 久太郎が真上を見ると、ミカの巨大な顔が、彼を覗き込んでいた。

 それから、彼女は手指で逞夫と遊びながらも、器用に肘を使って、
彼女のふくよかな胸を両側からよせて、久太郎の体を絞り上げた。

「うわああああああ!!!」
 信じられない強さの肉圧に、久太郎は、ただ悲鳴を上げるしかなかった。





(その10に続く)


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