巨大美少女ミカ (1)

           (不運な泥棒 改題)

                         NEW2さん みどうれい作

第一部 不運な泥棒(その1)

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「こんな家、楽勝だぜ。(^^)」

 彼の名は松田家 久太郎(まつたけ くったろう)、実は泥棒である。
彼は、町外れにある屋敷に忍び込む事に成功した。

「うーむ、この家は立派というより何もかも巨大だな。成金趣味め。」

 久太郎は女性の話し声が近づいてきたので、巨大な鉢植えの陰に隠れた。
その声はだんだん大きくなり、その大きさに久太郎は頭ががんがんしてきた上に、
地震のような振動まで感じていた。声の正体はスタイルの良い美人姉妹だ。

 彼女達は、久太郎の何十倍もの大きさだった。

「お姉さま。何か今夜は家の様子が変ですわ?」

「そうかしら?」

「もしかして、泥棒でも入ったんじゃ……(^_^;)」

「こんな家に入る泥棒なんて、いないわよ。」


「ま……、まじかよ。」
 久太郎は、巨人の美人姉妹を陰から見上げていた。


「それより、今日香水変えたんだけど。どう?」

「お姉さま。素敵ですわ。」

 巨人姉妹は久太郎がいることなど、気づくはずもなく通りすぎた。


「なんとか、やり過ごした……。長居は無用だ。」
 久太郎はほっとした。しかし、そのまま逃げられるわけが無かった。
巨人姉妹の歩いたときの振動で、上からほこりが落ちてくる。

「は、は、はくしょぉぉぉぉぉん!」
 久太郎は大きなくしゃみをしてしまった。


「あら、今のは何かしら?」
 はるか上空で、いぶかしげな声が響いた。
巨大な姉妹のどちらかに、今のくしゃみが聞こえてしまったようだ。


「や、やばい」
 久太郎はここから逃げようと、振り返った。

「げっ!!」
 その時彼は自分が、とんでもない広い場所にいることを知って、驚いた。
ここは町外れの屋敷なのに、何故かその庭は、町よりもずっと広かった。

 いや、広いとかいうレベルの話ではない。 
さっき、苦労して乗り越えてきた塀は、はるか彼方にかすんで見えていて、
その高さは百m以上もありそうだった。

「そ、そんな・・、」
 確かに大きな屋敷だったが、少し前に彼が忍び込んでから、
それほど歩かなかったのだから、庭がこんなに広いわけがなかった。

 彼は、自分が異次元の世界に迷い込んだような気がした。

 その時彼は、背後(頭上?)に『何か巨大なもの』が迫ってくるのを感じた。

「うわぁ!!」

 久太郎は、今まで経験したことのない恐怖に悲鳴を上げ、
そのまま後ろも見ないで、一目散に走り出した。

 本職が泥棒だけあって、彼の逃げ足は速い。
本気で走ったら、普通の人間で、彼に追いつける者は、ほとんどいないだろう。
しかし、今回の相手は、明らかに普通の人間ではなかった。

 必死で走る彼の前に、天空より『淡いピンク色の壁』が降りてきた。
それは、巨大な手のひらだった。

 彼は、反射的に方向を変えようとしたが、
すぐに、壁は移動して、彼の逃げ道を塞いでしまった。

 彼の頭の中で、本能が叫んでいた。「見てはいけない!」と・・。

 しかし、怖い物見たさと言うか、他にすることが無かったからというか、
立ち止まった彼は、やけくそで、後ろを振り向いて顔を上げた。

 そして・・・、やはり、見なかったらよかったと後悔した。

 地面に四つん這いになっているのだろう、
彼の視界いっぱいに広がった巨大な女性の顔が、彼を見下ろしていた。

「うわぁぁぁああああ!!!」

 彼は、巨大な目が自分を見つめているのを知り、
生まれてから一度も出したことのないような大きな声で、叫んだ。

 久太郎は、もう一度逃げようと走り出した。
しかし、これは全く無意味な行動だった。

 彼が走るよりもずっと速く『ピンクの壁』は
簡単に彼の体を包み込んで、彼の自由を奪ってしまった。
彼は必死になってもがいたが、暖かく巨大な肉の壁は、びくともしなかった。

それから、彼は、世界一速いエレベーターに乗ったらこう感じるのかと、
思うくらいのスピードで、天空に上げられた。

「のわぁぁぁ!!」
 彼は、再び悲鳴を上げた。

 突然、久太郎を捕らえていた肉の壁が開いた。
巨大な女の子は、両手をお椀のような形にして、彼をその真ん中に乗せていた。

「ひひえぇぇえ・・・」
 彼は情けない声をあげながら、巨大な手のひらの上を端まで這って進み、
おそるおそる下を覗き込んだ。

 地面は、はるか下だった。

 もし彼がここから飛び降りたら、命がないのは間違いなかった。
彼はどうしようもなく、そこに寝転がった。

 見ると、ビルの看板より大きな顔が、驚いたような表情で彼を覗き込んでいた。
肩まで髪の毛を伸ばした、高校生くらいの可愛い巨大な少女の顔だった。
彼は、次に目を開けたら彼女が消えていることを願いながら、目を閉じた。


「何、どうしたの?」
 もう一人の巨人が地響きをたてて、そこに来た。

「お姉さま。たいへんですわ。お庭に男の方が・・・。」

「えっ、そんな・・・」
 姉と呼ばれた女性も、驚いたようだった。
「お母様の造った結界を、どうやって・・・」

「ど、どうしましょう? お姉さま。」

「とにかく、家に入りましょう。」

 二人の巨大な女性は地面を見回し、他に小人がいないことを確認すると、
彼を落とさないように気をつけながら、玄関を開け、家に入った。

 東京ドームよりもはるかに巨大な部屋で、豪華なソファに座った巨大姉妹は、
そのまま彼を完全に無視して、二人だけで会話を始めた。

リィナお姉さま。私、こんなに小さな男の人を見たのは、初めてですわ。」
 久太郎を手のひらに乗せた方の少女が、やや興奮したように言う。
まだあどけなさの残る顔の彼女は、好奇心に目をキラキラさせていた。

「私たちが人の街に行く時は、いつもお母様の術で小さくしてもらってるからね。
まさか外出するたびに、街を踏み潰すわけにもいかないし・・・。
でも、本当の姿でいる時に見れば、人はこんなに小さいのよ。」
 リィナと呼ばれたもう一人の巨大女性が、応えた。
ロングヘアの彼女は、二十歳前くらいで、とても落ち着いた雰囲気の女性だった。

 彼女達二人の姉妹は、タイプは違うが、どちらも驚くほどの美人だった。

「でもどうやって、ここに入ったのでしょう?
この家には、結界がはってあるので、普通の人は入れないと、
お母様がおっしゃっていましたわ。」
 妹らしい少女が、不思議そうに尋ねる。

「普通の人間ならね・・・。 
でも、何百万人かに一人ぐらい、私たちと同じ血を受け継いだ者が、
人の世界にも生まれてくるって聞いたことがあるわ。
確かにお母様の結界は強いけど、私たちがこの家に入れるように術を使っているから、
当然、同族も入れるのよ。」

「それでは、この人はこびとなのに、私たちの親戚の方なのですか?」
 少女は嬉しそうに目を細め、手のひらの上の久太郎を見つめながら言った。
久太郎は、まだ放心状態で、そこに横たわったままだった。

「うぅーん、まぁちょっと違うけど、そんなもんよ。」

「でも・・・、可愛い、とても可愛いわ。」
 そう言うと少女は、左手で彼を掴み、右手の指で彼の服を摘んで脱がせようとした。

「うわぁぁぁあああ。」
 いきなり、自分の身長よりも長い指が迫ってきたので、
彼は悲鳴を上げ、抵抗しようとしたが、全く無駄だった。
彼女の指の力は強く、彼のシャツを摘むと、簡単に引き裂いてしまった。

「何をするの、ミカ!
 ロングヘアの美女が、驚いて叫ぶ。

「お姉さま。私・・・この子が欲しい。」
 手の中で暴れる上半身裸の小人を、見つめながら少女は言った。
彼女の目はとろんとして、彼の無意味な抵抗をクスクス笑っていた。

「そ、そんな・・・。」

 同族の男性を初めて見て、妹が発情期に入ったことを知り、彼女は呆然とした。

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 彼女たちは、自分たちに発情期があることを、母親から聞いていた。

 彼女たちの一族は、地上では『無敵とも言える強靭な肉体』を持ってはいるものの、
その反面、めったに子供が生まれることが無かった。
それは、あまりに強すぎる種族の宿命だったのかもしれない。

 最近では、同族の巨大男性など、ほとんど絶滅していた。

 そしていつしか(種族保存の本能のためなのだろうか)
残された女性たちのほぼ全員が、子供のできる可能性のある男性を見たら、
『欲情して、どうしても、やってしまいたくなる』ようになった。

 そして今、こびとではあるものの、同族のオトコを見た妹は、発情してしまったのだった。

「あぁ、可愛い。 私の・・・こびとさん」
 いつのまにか、久太郎はズボンとパンツまで剥ぎ取られて、完全に裸にされていた。
彼は悲鳴を上げて暴れていたが、ミカと呼ばれた少女は全く気にしていなかった。

 彼女は、彼を彼女の口の前まで運び、その可愛い唇を開き、大きくて熱い舌を伸ばした。
そして、ゆっくりと、彼の裸の体をしゃぶりだした。

「あぁ、こびとさん、あなたの体は・・・、とってもいい味がするわ。」
 彼女は、普段ならとても言えないような恥ずかしいことを呟いた。

「ちょ、ちょっと待ちなさい。」
 まだ冷静さを保っている巨大な姉は、慌てた。

 彼女たちにとって、意味も無く、人を傷つけるのは許されないことだった。
彼女たちはを守り、自分たちの世界に結界をはり、そこで生活をしていた。
退屈なので、たまに小さくなって人の街に遊びに行くこともあったが、
自分たちのことを、知られないように気をつけていた。

 姉のリィナは、妹に掟を破らせたくはなかった。

「あぁーん、お姉さまぁ、なんで止めるのぉ。
 私、この小人さんがぁ、好きなのぉぉぉぉおおお!」

「そんなことをしては、ダメよ。」
 巨大な姉は、優しく、しかしはっきりと言う。

「欲しいぃぃぃぃ。ほしい! ほしい! この子が、欲しいぃぃぃいいのよぉぉ!!」
 巨大妹は、小学生のわがまま娘のように叫んだ。

「よく聞きなさい。あなたの体は、この小人にはあまりにも大きくて強すぎるの。
彼は、あなたの小指くらいの大きさなのよ。
もし、あなたが欲望の趣くままに彼を抱きしめたら、
彼の体は、ひとたまりもなく潰れてしまうの。
ミカ、あなたも、そんなのはイヤでしょう。」

「そ・・・それは。」

「だから、お母様が帰ってくるまで待ちなさい。
お母様は、きっと縮小術で、あなたを彼と同じ大きさにしてくれるわ。」

「お、お母様は・・・、一族の集会から、いつ帰ってくるの?」

「三日後よ。」

「いやぁぁぁぁぁーーーーーー! そんなに待てないぃぃ。
今すぐ、この子が欲しいぃぃぃぃいいいい!!!」

 少女は、叫んだ。



(その2に続く)


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