《 巨大婦警エル 》 5

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 エルは地面を見渡す。まだ強盗が2人残っている筈だ。


 鋭い目はすぐに彼らを見つける。 少し先の道路を2人の小さな男が必死で走っている。強盗団のリーダーと、あのヤスとかいう男だった。そしてリーダーは何かの書類をまだ手に持っていた。

「強盗さん達、みっけ!」

 
獲物を見つけた喜びにエルは微笑む。彼女の喜びを示すかのように、ふくよかで大きな胸が揺れていた。。


 銀行を包囲していた警官隊は人質を保護し、エルの巨大化によりビルが崩れ始めた時点で、安全な場所に避難していた。倒壊するビルの瓦礫の下敷きになるのは真っ平だった。

 結果として銀行を包囲する警官はいなくなり、ビルを飛び出した強盗2名は、そのまま道路を走って逃走する事ができた。


「あらら、強盗さん達、この私から逃げられると思ってるの?うふっ、甘い、甘いわよ」

 エルは大またで歩き出す。男達はかなり遠くまで逃げていたつもりであったが、巨人婦警は、たったの7歩で彼らを追い越してしまう。

ずうううううんんん!!!

 凄まじい震動と共に、巨大な黒いローファーが男達の前に降ろされる。 リーダーとヤスは衝撃のため、地面に転がる。


「何処へ行くの、強盗さん」 エルは地面に転がる男達に笑いかける。楽しいお仕置きの時間だった。


 男達は恐怖の表情と共に、目の前の巨大な黒い物体を見る。信じられない! これは女の靴だ。
婦人警官の黒のローファー
だ!


 アスファルトの道路にめり込んでいる。

 しかし、
なんという大きさなのだ!

 身長70mに巨大化したエルは普通サイズの人間から見て、40倍の大きさがある。靴の長さだけでも10m、幅は4m以上だ!

 客席数50人以上の二階建て大型バスの長さは約9mだが、今のエルの靴はそれよりもずっと大きいのだ。小さな男達など10人くらいまとめて踏み潰してしまえる。

 その大迫力の巨体の重さを支え、上空から降りてくる、
大ローファーの恐怖は、想像を絶するモノであった。


 はるか天空から凛とした声が響く。
「私は帝愛署婦警エル! あなた達2人を、強盗罪、傷害未遂、住居侵入、器物破損、監禁罪、銃砲類所持取締法違反等の現行犯にて、処分します!!」

 男達は恐怖に引きつる。今、この女は何を言ったのだ?逮捕するではなく、処分するって・・・。 その時、ようやく彼らは気がついた。いっしょに逃げた筈の強盗メンバーのゴウジがいない・・・まさか、そんな・・・。 男達の恐怖はすぐに現実のものとなるのであった。

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