《 終末のマリア  》 2

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いきなりマリアの身体の上でかすかな火花が走る。
「え、何?」マリアは少し驚く。

意外なことに地球の軍隊から攻撃があった。
いくつかのミサイルが地球上空の人口衛星からマリアに発射された。
それは地球上での最終戦争用に造られたもの。
本国政府が敵の先制攻撃で壊滅しても、
人口衛星のAIが判断し、核ミサイルを撃ち敵国を滅ぼす。

超大国同志が戦争をしないための抑止兵器だったのだが、
ついに最初で最後の起動をする。

冷戦期に造られた攻撃兵器。
冷戦が終わり平和になったので、これは長らく封印されていた。
しかし近年独裁国家が隣国を侵略するという想定外の事態が起きたため、
今の時代に復活した。
それは人間ではなく、軍事AIにコントロールされていた。
それがマリアを敵と判断して、いきなり核ミサイルを発射した。

マリアの乳房の上で核ミサイルが爆発し、パチパチと火花を散らす。
しかしマリアは大き過ぎた。痛くも痒くもない。

「へーこんな事するんだ」
いきなり核攻撃されたマリアは少し驚く、というか呆れた。

核ミサイルの爆発は、地球最後の反撃がこんなにも、もろいと、
そして自分があまりにも強くて大きいという満足感をマリアに与えただけだった。

まぁ、しかし、マリアを攻撃した政府には罰をあたえねばならない。
彼女はその反抗的な軍事政府の首都を圧し潰そうと彼女の乳首を向ける。



首都の住民は巨大な乳首が迫ってくる事実を知り叫んだ。
「やめてくれーーー」
「この世の終わりだ!」
「俺たちが悪いんじゃない、戦闘コンピューターが勝手にミサイルを撃ったんだ」
「女神さま、我々は貴方に従います」

小人たちのかすかな声はマリアにも聞こえていた。
しかし慈悲をかける必要はない。
あまりにも小さな地球を見て、再認識していた。
彼女は女神なのだ。それを小人どもに教えてあげないといけない。

ゴゴゴオオオンン!



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地球規模の異変が起こる。
マリアの乳首が地球に接触する前に、そのパワーに圧縮された空気でほとんどの都市が破壊された。

マリアの乳房の圧力により都市は破壊され人ごと宙に舞う。
ビルの中にいた人々は、その衝撃波によって、
天井にぶつけられ、天井と床の間を何度も行き来して肉の塊になった。


すぐにマリアの乳首は地球に激突した。
50階建ての高層ビルも2階建ての住宅も違いは無かった。
等しく潰され都市に圧縮され、地上奥深く数千mのクレーターの一部になった。

軍司令部の高官たちは地下数百メートルの位置にある地下シェルターの中に
いたが、何の意味もなかった。
そのままそこの全員がマリア乳首に潰された。

遠き昔、数億年の繁栄を謳歌した恐竜の時代。
それがただの一度の隕石の落下により、恐竜は絶滅したという説がある。
ファーストインパクト。

マリアの地球への乳首攻撃はそれ以上の大破壊だった。
誰もが人類が滅亡したと思った。
しかし、破壊の範囲は限定的だった。

地球人類の5分の1が潰されたが、他の者も都市も全くの無傷だった。

軍事国家の隣国が巻き添えで潰された。
その国の人々には文句を言う時間も無かった。

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