《 進撃のピロテース  》 2

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 ピロテースは呆然とする。
こんな小さな人間の世界に勇者がいるとは思えない。

しかし、彼女は彼を認識する。
前方の道路を彼女と反対方向に逃げていく。

(いた、勇者さまだ)
あまりにも小さいけど勇者に間違いない。

彼には故郷に来てもらわないといけない。
そう、復活魔王と戦えるのは勇者さまだけなのだから。

それにしても周囲を走る数百人の群衆小人が邪魔だわ。
彼女はためらうことなく、(空間移動の力)を使い
用のない都市の人々を消し去る。
彼らが何処に飛ばされたのか、彼女にも分からない。


これで勇者さま・・・紘一と言うお名前。
ピロテースはそこにしゃがみ小さな紘一に手を伸ばす。





紘一は悲鳴を上げる。
高校生の彼は休日のその日、ただ街の散歩を楽しんでいただけだ。
それなのに、いきなり出現した女巨人の手に囚われたのだ。
ありえねー、絶対にありえない。

ピロテースは紘一を自分の手のひらの上にのせ、眼の前に運ぶ。
何なのよ、こいつは!小さすぎて。あまりにも弱い。
こんなんじゃ。復活した魔王には勝てない。


しかし、彼女の胸に奇妙な感覚が走る。
この惑星のヒューマノイドを見た目からすれば、
彼はイケメンではあるが、特に逞しくもなく戦士の才能も皆無で、
この惑星でも『普通』に分類されるのだろう。

 しかし、何故かそんな彼に心惹かれる。

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