《 進撃のピロテース  》 1

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 一目惚れだった。

彼女の名はピロテース。
異世界に住む(超能力女戦士)だ。



 大魔王復活の日が迫っていた。
それまでに(人間の勇者さま)にも
復活していただかなければならない。

大賢者アウグストの力をかり、ピロテースは勇者の血を引く者の居場所を知る。
どうやら地球という名の惑星に(勇者さま)がいるようだ。
名前は紘一というらしい。

彼が美しく逞しい少年だと理解できた。
彼女はまだ見ぬ勇者さまに恋をした。
 彼の全てが愛しい。彼の姿を想像する度に、
分厚いおっぱいの奥にある胸の内と、彼女の股間部分が、熱くなるのを感じていた。
もう我慢できない。

彼女は自分の空間移動能力を使い、瞬時に地球に行く。


* * * * *

 
ずうううぅぅぅんんん………!!!

「うわあああ!?」

 休日の昼。街を散歩していた(紘一少年)は、
突如襲ってきた大きな振動に、その場に倒れこんだ。

 何の前触れもない、突然の縦揺れ。一瞬、体が宙に浮いてしまう程の衝撃であった。
 周囲に一斉に悲鳴が飛び交う。彼の周辺にいる大勢の人間の中で、
無事に立っていられた者は誰1人として居なかった。

「い、たたたたた……。な、何があった……!?」

 尾てい骨をアスファルトにしたたかに打ち、涙目になった紘一は、
腰を擦りながら、周囲を見渡す。

「うひっ……!?」

 地面を揺らしたその存在を見た時、自然と悲鳴が口から漏れた。



 紘一の正面には、休日の今は歩行者天国なのだが、
平日は車道として使われている、広くて長い1本の道路が伸びている。

 その道路の先に――自分から見て何百メートルか離れた場所に、立派な体格をした、
大きな、大きな、戦闘スーツ姿の巨人女が立っていた。
すぐに彼女は紘一の方に歩き出した。

「巨人女戦士?」

 常識と思えない光景を目にした彼、思わず口から言葉が漏れる。
彼女が戦士であるとすぐに理解できた。
 道路の脇には、幾つものビルが建ち並んでいるが、巨人女戦士は、
それらよりもずっと大きい。

 あの巨人が立っているすぐ隣にあるビルが、確か30階建て、約120mの高さがあったはず。
 頭の位置がそのビルよりも大きい。
あの巨人女戦士は、身長が170mということになる。
人間の100倍のサイズ。信じられない!

 途方も無い、想像することすらなかった、大きな人間(?)であった。

 恐怖に、血の気が引いた。

 巨人の登場により道路にいた大勢の人々が踏み潰されいた。
その彼女がまっすぐにこちらに進んでくる。

「ひええええーーー!」
紘一は立ち上がり、巨人と反対方向に走り出す。
周囲の人々も同じようにそこから逃げようとする。

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ピロテース視点で

 
ズドドーン。
 彼女が地球に着地した。
(さて紘一さまはどこかしら?)
ピロテースは周囲を見回す。



地球の景色は彼女が予想したモノではなかった。
 左右には、自分と同じくらいの大きさの、箱のような建物が並び、上空には青い空、
正面には左右幅が自身の肩幅よりほんの少しだけ広い程度の道路が伸びていた。

彼女はすぐに理解した。
ここは
小人の惑星であり、自分は彼らから見たら巨人なのだと。



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