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       (注)この物語は、成人を対象にして書かれており、未成年を対象にしていません。 
      もし、あなたが18歳未満ならば、この作品を読まないでください。 
       
      『別の星の麗子先生のお話し : 前編』 
       
                           作 だんごろう 
       
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 真夏。 
照りつける日差しの中、都会に隣接する港で、五柱の水しぶきが上がりました。 
 
港にいる沢山の人々が驚き、その水しぶきをみつめます。その水しぶきの中から巨大で異形のものが現れます。 
「ゴジラ?・・・・いや、ミニラだ!!」 
そう声を上げる者がいました。そうです、それは、怪獣映画に出てくるゴジラの子供、ミニラだったのです。 
水面に胸まで浸かっていて、そこから突き出ている、頭と胸はとてつもなく巨大でした。 
 
その内の一体のミニラが、上を向き、声を出しました。 
「ミュ〜ん♪」 
音量は大きいのですが、巨大な身体から出た声の可愛らしさは、見ている人々を思わずずっこけさせます。 
 
別のミニラが、泊まっている100メートル級の貨物船に近づき、その上に乗りあがろうとします。船が揺れます。それでも、船を傾かせながらよじ登り、船を跨ぎます。船は、バキバキと音を立て、ゆっくりと中央から陥没し、沈み込んでいきます。 
そのミニラは、船が沈みきる前に「ミュ〜ん♪」と吼え、そのまま岸に足をかけて上陸しました。 
 
怪獣映画の一場面、それが、港にいる人々の目の前に展開しています。 
残りのミニラも、続々と海から上陸してきます。 
 
五体のミニラが、横一列に並びます。身長が30メートルはあるミニラが並んだため、そこには、絶望的に高い壁ができます。それまで呆然としていた人々は、その高さに恐れをなし、悲鳴を上げて逃げ始めました。 
 
ミニラは、逃げる人々を、そして、目の前に広がる街に視線を向けます。 
巨大な怪獣ですが、子供らしい好奇心が満ち溢れているらしく、その目が、まるで、猫が動く獲物を見つめている時の様にソワソワしています。 
 
一体のミニラが、「待つミュ〜ん♪」と声を上げると、逃げている人々に歩き出しました。小さな人々に自分の大きさが脅威になることを楽しんでいる様に、ゆっくりと、ずん!ずん!と足音を高らかに上げていきます。 
横にいた、もう一体のミニラが、「あたしも行くミュ〜ん♪」と、その後を追いかけます。 
 
二体のミニラが、人々を追って広い通りに行ってしまい、残ったのは三体のミニラ。その三体は、広がる街中に入っていきます。 
港の周りは古い町並みです。二階立ての古い家が立ち並んでいます。そこに踏み入れ、足を高く上げ、ズン!と勢いをつけて踏み降ろします。下敷きになった家が一気に潰れ、辺りに瓦礫が飛び散ります。 
「チョー・・・・!・・・気持ち・・・・良い!!!・・・・・ミュ〜ん♪」 
 
その横のミニラが、興奮した様子で、「あたしもミュ〜ん♪」と声を上げると、人々が逃げている狭い路地に照準を定め、そこに足を踏み降ろします。通りの人々が足の下に消え、その両側の家が横に弾かれます。 
「楽しいぃぃぃ!!ミュ〜ん♪」 
 
夏の日です。逃げる人々は汗だくになりながら、ハアハアと息をしています。 
 
家々の並びを踏み潰していた一体のミニラが、横にいるミニラに声を出しました。 
「ねぇ、暑くない?」 
声をかけられたミニラが答えます。 
「ほんと、そうミュ〜ん♪」 
 
「でしょ。もう、怪獣ごっこ、おしまいにしない?」 
「おしまいにするミュ〜ん? えっ?おしまいにするの?」 
「そう。ねぇ、ミキちゃん、背中のチャック開けてよ」 
 
そう話したミニラは、横のミニラに背中を向けました。 
 
「だめ!ランちゃん!先生言ったでしょ。これは、怪獣ごっこじゃなくて社会見学だって。だから勝手なことをしちゃだめなの!」 
さらに、横にいるもう一体のミニラに同意を求めます。 
「ね、スーちゃん、そうよね」 
 
スーと呼ばれたミニラがランの方を向きます。 
「そうよ、ミキちゃんの言うとおりよ。先生も後でスーパーウーマンの格好で来るでしょ、だからランちゃん、全員、この格好をしていなきゃだめなのよ」 
 
ランは、「だって・・・暑いんだもん」と声を出し、腹立ち紛れに足元の二階建ての家を蹴り上げます。その横の路地を逃げている人々が瓦礫の下になります。 
 
スーとミキのミニラが、二人合わせて声を出します。 
「ランちゃん、ファイト!!」 
 
ランは気を取り直したらしく、「うん!分かった!」と元気に声を出し、 
足元を逃げる人々に向かって「ミュ〜ん♪」と怪獣の声を上げ、さらに家々が密集している場所に踏み込んでいきます。 
その後を、「もう、ランちゃんたら・・・」と、ミキとスーが続いていきます。 
 
*** 
 
初めに歩き始めた二体のミニラは、「ミュ〜ん♪」「ミュ〜ん♪」と声をあげ、広めの通りをズン!ズン!と元気に進んでいました。 
通りには乗り捨てられた車が散在し、その間を人々が息を切らせながら必死に走っています。 
でも、怪獣と人では、歩幅に差があります。遥かに歩幅が大きいミニラが、その大きな足で車と逃げる人々を次々に踏みつけています。 
 
後ろから歩いているミニラが声を出しました。 
「ミーちゃん、もう少し、ゆっくり歩いて。この着ぐるみ、歩きに難いの」 
その声は、少女の声の様ですが、少しハスキーボイスでした。 
 
先を進んでいる、ミーと呼ばれたミニラが後ろを振り返って、 
「ケイちゃん、ほら、手を貸してあげる」 
と、片手を後ろに差し出します。 
二体のミニラが手を握りました。 
 
ミーが、興奮し甲高い声をあげます。 
「ね、ケイちゃん!楽しいよね!!ミー、こんな楽しいこと初めて!ほら、また、踏んずけちゃう!」 
ズン!! 
そのミニラの足が、そこを走っていた5,6人をまとめて踏みつけました。 
 
ズン!! 
もう一体のミニラも、止まっている車と横にいる人を踏み潰し、ハスキーボイスを出します。 
「ほんと!楽しいね!」 
 
ミーとケイの二体のミニラは手を繋いだまま、街の中心部に向かっていきます。その二体が歩いた通りは、ペシャンコになった車と、ぼろ雑巾の様に潰れきった人々だけが残り、動くものは何もありませんでした。 
 
*** 
 
二体と三体に分かれ、別々に街の中心を目指すミニラ達。そのミニラの着ぐるみの中は、可憐な少女たちでした。 
彼女達が通う学園は、幼稚園から大学までの一環教育の超エリート校で、彼女達はその小学部の3年3組。『しっかりとした次代に見合った女性を作る』が教育方針で、従って生徒は少女のみ。 
各クラスの生徒は20人で、その中で5人ずつの班が形成されています。 
 
彼女達は、その一つの班で、社会見学としてコビトの星に送り込まれています。 
この学園では、将来エリートになる女性の基礎を作るために、小学部の3年生になった時に、コビトの星に社会見学を行くことになっていました。 
 
彼女達の種族は宇宙で最大の身体の大きさを持ち、その種族の価値観は『身体の大きさ』になっています。 
宇宙には知的生命体が住む星は沢山ありますが、その中には許容値以下のサイズの知的生命体もいます。それらには『人間』としての価値を認めず、人間ではない別の生き物、『コビト』と呼んでいます。 
この許容値以下のサイズの人々- 『コビト』を女生徒達に蹂躙させることで、彼女達が宇宙で最もエリートであることを認識させることが、この社会見学の目的なのです。 
 
また、今、彼女達が来ている星のコビトは、本来の大きさの彼女達から見れば蟻のサイズもありません。それでは、コビトは小さすぎるので、わざわざ、彼女達のサイズを、この星の人々の尺度で言えば、120〜140メートルぐらいある身長を30メートルにまで縮めています。 
そのサイズならば、『生きている小さな人々』を踏み潰す、その踏み心地を女生徒に実感させることができるからです。 
 
少女の可愛らしさがいっぱいの彼女たちは、ランを班長とする一つの班ですが、仲良しグループとしては、ミーとケイの二人と、ラン、スー、ミキの三人に分かれています。 
別に二つのグループが反目し合っている訳ではなく、五人まとめてだと、楽しいお喋りがし難い時があるので、班全体で何かをする以外は、自然とその二つのグループに分かれるのです。 
 
*** 
 
ミーとケイの二人は、往復二車線で両側に歩道がある幅広い通りを進んでいます。 
その通りは、二人手を繋いで並んで歩くことができる幅がありました。 
 
ミーは、コビトが密集して逃げている所を狙って足をドカッと降ろしました。途端にグチュ!とした感触が足裏に伝わってきます。 
”コビトを踏んだ!” 
たかがコビトですが、彼らは自分たちと同じ様な生き物で、ただ身体のサイズだけが違っているだけなのです。『生きている人間』を踏んだ様に思えてきて、「楽しいぃぃ!」と声が上がってしまいます。 
 
ケイは自分の足を見下ろします。ミニラの三本指の不恰好な足は当然自分の足とは思えません。どう見ても怪獣の足です。 
でも、ケイが自分の足を上げると、その怪獣の足が持ち上がり、ケイが自分の足を降ろすと、その怪獣の足が情け容赦なくコビトを踏み潰します。 
それが不思議な気持ちを彼女に与えました。自分が怪獣になると同時に、自分ではない自分が残酷なことをしている思いがしていました。 
さらに、着ぐるみを通してケイの足裏にも、コビトが潰れる感触が伝わってきます。その感触が、ワクワクする様な気持ちを引き起こします。 
 
ミーとケイは、時折、上を向いて、二人同時に「ミュ〜ん♪」と声をあげて、さらに街の中心に向かって進んでいきました。 
 
*** 
 
ラン、スー、ミキの三人、下町のゴミゴミ所を進んでいます。 
先頭は、先ほど『暑い!』と不満を漏らしたラン。その斜め後ろにミキが、その後ろにスーが続きます。 
 
下町特有の古い木造の二階建てが軒を連ね、その軒下の狭い通りを人々が逃げています。 
二階建ての家の高さは、丁度、彼女達の膝の辺り、それが密集しているので、見た目には歩き難い場所でした。足を上げて家の並びを踏み潰すか、一歩ごとに家を蹴り上げて進むことになります。でも、小さな家は、まるで積もった雪の様に脆く、簡単に潰せるし、蹴り上げられるので、それほど苦ではありませんでした。 
 
ランは、家々を踏み潰す破壊の楽しさを感じていました。 
家々や路地のコビトを踏み躙りながら、「ギャハハハ!」と笑い声をあげます。 
さらに、班での決まりでもあるので、時々、上を向き、「ミュ〜ん♪」と声をあげます。 
 
班長であり、優等生でもあるミキは、先生から言われた通りに、自分に課せられたことを実行していきます。 
今回の課題は、『コビトに君臨する自分自身を作る』ことです。ですから、大好きな麗子先生が言った、「コビトに情けをかけないでね♪」を守って、コビトと、コビトの家を踏み潰していきます。 
でも、少しずつ破壊の楽しさが分かり始めていました。 
それに、横にいるランを見ると、見るからに楽しげに、家と人を踏みつけています。ミキも、後で麗子先生に褒められたくて、ランにつられる様に破壊をしていきました。 
 
スーは、今回の学校行事が嫌でした。家でハムスターを飼っていて、最近、そのハムスターに赤ちゃんが生まれました。ですから、小さな命の尊さを知っています。 
先生から言われた様に、コビトに情けをかけないで踏み潰そうとするのですが、コビトと同じ大きさのハムスターの赤ちゃんのことを思い出してしまうのです。 
スー達が進んでいる所は、家々が密集し空き地もない場所なので、コビトが逃げている路地か、横に連なる家々のどちらかを踏むしかありませんでした。 
スーは、コビトを直接踏むことはできなかったので、心の中で、“ごめんなさい”と思いながら、家々をゆっくりと踏みつけて進む様にしていました。 
そんな状態ですから、ランやミキから遅れ始めています。 
 
そのスーの様子にミキが気付きます。 
「ランちゃん、待って。スーちゃんが遅れているの」 
ランとミキは、そこで立ち止まり、スーを見つめます。 
 
ミニラの着ぐるみの中のスーの表情は分かりません。でも、何となくオドオドした様子なのは分かります。 
ミキは、スーのハムスターの赤ちゃんが生まれたことを、数日前にスーから聞いたことを思い出し、スーの気持ちが分かりました。 
 
ミキはスーに言葉をかけます。 
「ねぇ、スーちゃん、ハムスターとコビトは違うのよ。先生だって言ってたじゃない、『コビトには情けはかけないで』って」 
 
ランにも、今のミキの言葉から、スーの気持ちが分かりました。 
ランも話します。 
「そうよ、違うのよ。可愛いハムスターと・・・」 
そう話しながら、足元を逃げているコビトを手で拾い上げます。 
ランの握られた手の中から、『助けてくれ、逃がしてくれ』とくぐもった小さな声を聞こえます。 
 
「ハムスターとコビトは同じじゃないのよ。だから・・・ランだってこんなこともできちゃうのよ。いい、スーちゃん、見てて」 
ランは手の平を握り締めます。握られた手の中から小さな絶叫が一瞬しました。 
 
ランが手の平を開くと、グチャっと潰れたものが見えてきます。ランは、「きたない・・」と小さく言葉を出し、手の平を振ってそれを地面に落としました。 
 
ミキも、「私も!スーちゃん見てて!」と、足元を逃げ惑っている集団をズン!と勢い良く踏み潰し、さらに言葉を続けます。 
「ねぇ、スーちゃん。スーちゃんがコビトを踏み潰さないと、先生が悲しむよ」 
 
ミキにそう言われて、スーはハッとします。 
大好きな麗子先生を悲しませることだけはしたくはなかったのです。 
スーは、足元を見下ろします。丁度、怪我をしたらしく、路地に蹲っている人がいました。手を動かしているので、まだ生きていることは確かでした。 
スーは足を上げ、その人の上に翳します。でも、その足は宙に浮いたままです。 
 
その様子を見て、ランとミキは目配せをし、小さく「せぇの」と声を出し、 
「スーちゃん!ファイト!!」 
と二人同時に声を張り上げました。 
 
その声につられる様に、スーが足をズン!と降ろしました。 
途端に、ランとミキから、「やった!スーちゃん!それで良いのよ!」と歓声が上がりました。 
 
ラン、ミキ、スーの三人は、また歩き出しました。 
スーは、路地を逃げるコビトを踏み潰せる様になっていますが、まだ心の中に罪悪感がのこっていました。でも、それ以上に、友達と一緒に、同じことをやっている嬉しさを感じていました。 
 
*** 
 
成層圏に浮かぶ円盤型の宇宙船。その中に麗子先生がいます。 
淡い栗色の肩まで掛かる髪。艶やかな光沢で、天使の輪を描いています。 
美しさを発揮する切れ長の目。青み掛かった澄んだ瞳。 
冷たい印象を与えるぐらい、整った鼻筋。少し厚めの唇のセクシーさ。 
20代前半の輝く様な白い肌。 
町を歩けば、通り過ぎる男達が、彼女のスタイルと美しさにハッとした表情を浮かべ、去って行く彼女の後姿をいつまでも見送ってしまいます。 
 
その麗子先生、暖かい眼差しでモニターを見ています。 
モニターの中では、五人の教え子が、ミニラの着ぐるみを着て、街の中心を目指して進んでいます。 
彼女たちの足元にいるコビトや、小さな家々が、次々に踏みつけられています。 
麗子先生、その様子を満足げに見入っています。 
「うっふふ、やってる、やってる、それで良いのよ」 
 
今日は、小学3年生になった彼女たちのコビトの星への初デビューです。 
でも、運が悪いことに、丁度、そのコビトの星は真夏の時期になっていました。 
本当だったら脱ぎたい所の怪獣の着ぐるみですが、その着ぐるみにも訳がありました。初めてコビトたちと対面すると、自分たちと同じ姿をしているコビトに仲間意識を持ってしまい、彼らの命を奪うことを躊躇することがありました。常日頃、ペットを飼ったりして、優しい女性になるべく育てられている少女たちです。そうなることが当たり前なのです。 
でも、怪獣の格好をすると、少女たちはそれになりきり、自分が怪獣になった気持ちで、コビトや、家々を踏み潰すことができるのです。 
 
そろそろ、麗子先生の出番です。 
五人の生徒たちと一緒にコビトの街を破壊して、生徒たちに、破壊の楽しさを心の底から知ってもらうのが彼女の務めです。 
 
麗子先生、口元に笑みを浮かべたまま、モニターの横にあるコップに目をやります。 
そのコップの中には、生徒に内緒で持ち込んだ、麗子先生の小指よりも小さな裸の男が入っています。 
 
その小さな男は、麗子先生の元カレ、翔太。 
学生の頃から3年以上付き合っていましたが、数ヶ月前に新しいカレができたので、麗子先生、翔太との仲は終わりにしています。 
 
少し、麗子先生の元カレの翔太の説明をします。 
彼は、母子家庭で育っています。 
小柄でしたが、可愛らしい顔つきだったので、少年時代はそれなりに女性からもてていました。 
母親は働き者で、その母親の苦労の末、大学までいっています。そして、そこで、同じ大学に通っている加藤麗子と知り合いました。 
初めは、彼女の方が翔太に熱心で、翔太はそんな彼女に付き合わされている様な感じでした。でも、翔太も満更ではなく、スタイルが良く、整った顔立ちの麗子に惹かれていきました。 
 
そして、卒業。 
社会人になった彼女に会った時、翔太はドキッとしました。麗子がとても大きく見えたのです。 
それは、ハイヒールのせいでした。それまで、ハイヒールなんか履いたことがない彼女が、ハイヒールを履くようになったのです。 
小柄な翔太に気を使い、いつもペッタンコの靴しか履かなかった彼女が、翔太の前でもハイヒールを履くように変わっていました。 
 
麗子の方が翔太よりも背が高い。さらに、ハイヒールです。翔太は、麗子の顔を見上げてしまいます。そして、見上げるたびに、不安が強まっていきました。 
“いつか、彼女は、俺から遠ざかっていく・・・・いつか・・・・” 
そう思うたび、彼女のことが恋しくて堪らなくなっていきました。 
 
そして、その日を迎えました。 
突然のメールで別れ話を告げられた翔太。予想をしていたことでしたが、うろたえ、どうして良いのか分からなくなりました。 
“いやだ、分かれたくない!ずっと一緒にいたい!” 
その思いのままに、自分でもしつこいと思いましたが、電話やメールで、あるいは彼女の自宅近くで待ち伏せて、その気持ちを訴え、その度に、彼女に冷たい素振りをされていました。 
そして、彼女の気持ちがもう二度と自分に向いてくれないことを悟り、先月、彼女の自宅近くで、 
「麗子、死ぬほど愛している。でも、もう二度と連絡をしないし、会うこともない・・・・でも、でも・・・・俺は君のことは忘れない」と、最後の言葉をかけてからは、悶々とした気持ちを抑え、彼女へ連絡をしない様にしていました。 
それが、三日前、警察にストーカー容疑で拿捕されてしまいました。彼女に訴えられたのです。 
 
この星の女性の権利は高く、ストーカーは重大犯罪にされます。 
翔太には、現実に彼女に付きまとった時期があり、携帯電話の履歴や、送られたメールが証拠として採用され、逮捕されたその日に有罪が決まり、身体のサイズを縮められて彼女に渡されました。 
ストーカー行為で有罪となった場合、被害に合った女性の小指よりも小さくさせられ、被害者に渡されることが決まっています。そして、被害者の女性が、その犯罪者をどの様にしても良いことになっていました。 
でも、もし翔太の家が裕福ならば、膨大な裁判費用を使い、巨額な慰謝料で解決を図ることも可能でした。 
ですが、所詮は母子家庭で、翔太も社会人になったばかりです。貯金も、できる借金も高が知れています。当然、その費用を工面できる訳もありません。訴えられた時点で、翔太の運命は決まっていたのです。 
 
宇宙船の中。麗子先生、コップの中の裸の彼を見て、「うっふふ」と、小さく笑います。 
 
コビトの街を破壊し、コビトを踏み潰していくと、あそこがジュワーとして性的な興奮が沸き起こります。先週、別の班の女生徒を引率してコビトの街の破壊をした時、小さな男をこの行為の最中に股間にへばりつかせることを思いついたのです。 
“きっと、気持ち良いはず・・・” 
そのイメージは、彼女の気持ちを高ぶらせました。 
 
その時、元カレのことを思い出したのです。 
まとわりつかれ、迷惑と感じた元カレです。“翔太を使ってやる!”と思ったことは不思議ではありません。 
そして、彼は、彼女が思った通りに今、コップの中で、裸で震えています。 
 
麗子先生は、椅子から立ち上がって、口元に笑みを浮かべ、彼を見下ろします。 
「ねぇ、翔太、私のヌード、見たいでしょ?・・・うふふ・・・ほら、見せてあげる」 
そう言葉を出し、ストリッパーの様な立ち振る舞いでセクシーにビジネス風なスーツを脱いでいきます。 
ブラウスの上から胸を揉み、彼に見せ付ける様に、ボタンを外します。ヒップを彼に向けて、腰を左右に振りながら、スカートを降ろしていきます。そして、最後にブラジャーとショーツを脱いで丸裸になり、コップが置かれている机の前に立ちます。 
机の端に置かれているコップの前には、丁度、恥骨を覆う陰毛が露になっています。小さな男との対比が、卑猥に見えます。そして、その男は、一度は愛し合った元カレなのです。 
「翔太・・・今は・・・・私のオモチャ・・・」 
麗子先生の口元からクスクス笑いが出てしまいます。 
 
その時、コップの横のモニターから、可愛らしい生徒たち声、「ミュ〜ん♪」が聞こえました。 
視線をモニターに向けると、生徒たちが街の中心地にだいぶ近づいているのが分かりました。 
麗子先生、「みんな、もうすぐ行くから、待っていてね」とモニターに優しく声をかけます。 
 
先生の役柄は、ウルトラウーマン。その役柄に合わせ、身体にピタッとするフルスーツを着始めます。丸裸です。その動きに合わせて、大きな胸がブルルン!と揺れています。 
両足をスーツの中に通し、それを太ももまで引き上げた所で、翔太をコップから取り出し、手の平に乗せました。 
手の平に乗る小さなもの。過っての恋人は今では虫の様に小さな存在になっています。 
麗子先生、顔の前にその手を持ち上げ、耳をそばだてます。小さな裸の男は四つん這いになり、「麗子、愛している」と、か細い声を出しています。 
その言葉を聞き、麗子先生は笑いながら言葉を出します。 
「うふふ・・・ねぇ、翔太、愛する人のために死ねる?」 
 
手の平の上で四つん這いになっている小さなものから、 
「お、俺は・・・麗子のために・・・死ねる!」 
小動物のキーキーとしたさえずりの様な小さな声がしています。 
 
麗子先生、クスクスと笑いながら、小さな男が乗っている手を股間の方に移し、さらに言葉を続かせます。 
「そう・・・私のために、死んでくれるのね・・・」 
さらに、股間の前で、その手を止め、彼に言葉をかけます。 
「うふふ・・・翔太をここに入れてあげる。だから、私をとっても気持ちよくしてね。・・・・ねぇ、翔太、愛する女のここで死ねるんだったら、本望でしょ?」 
 
自分で言っておきながら、麗子先生、その言葉で声を上げて笑ってしまいます。 
そして、その笑いを口元に残したまま、小さな彼を股間に押し込んでから、スーツを腰まで持ち上げます。 
さらに腕を通して背中のチャックを上げると、首から下、全身が真っ青で胸にVの赤いストライプが入った伸縮性のあるスーツで覆われます。 
豊かな胸とくびれたウェスト、ちょっと大きめでプリンとしたお尻が、ピタッとしたスーツにセクシーな起伏を与えています。 
 
でも、まだ、首から下だけがスーツで覆われているだけで、顔はそのままです。 
麗子先生、モニターを見て、外気温をチェックします。 
30℃。 
暑そうです。この温度では、頭から被るマスクは辛そうでした。 
机の上にあるサングラスを取り上げ、「これで良いよね」と自分に納得させ、マスクを着ける代わりにそれをかけました。 
 
そして、膝までの真っ青のロングブーツを取り上げます。 
ブーツの脛の所に真っ赤な火の鳥が浮かんでいる模様で、踵が高く、ワイルドなデザインのブーツになっています。これは、麗子先生のこだわりです。正義の味方の格好をしても、やはり、コビトを直接踏み潰すブーツは、ワイルドでセクシーなイメージにしたかったのです。 
 
生徒たちの元に出動する準備は整いました。 
 
立ったまま、モニター前のキーボードを操作しながら、股間を見下ろしてクスッと笑います。 
“暑そう。翔太、大変ね” 
さらに、スーツの上から股間に手を当て、そこでモゴモゴと動く小さな者をクリトリスに当てるようにします。 
そして、片手を上に挙げて「ジュワー」と声を出し、彼女自身を、生徒がいる地面に転送しました。 
 
      
  
      
       
       
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