《 私は預言者だ 》 

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ある日 突然 町に巨大妖精娘が現れた。

彼女は小人を踏み潰すのが大好きだった。

地上を見下ろして人々に宣言する彼女。

「さぁ、小人さんたち 今から踏み潰してあげるね」

恐怖の悲鳴を上げる人々。




彼女は人々の上に足を上げる。

とんでもない大きさの足だ。

このサイズなら一度に20人の人間を 虫のように踏み潰せるだろう。





そんな時 一人の男が声をあげる。

「待て 私は預言者だ! 踏み潰してはならない」

口から出まかせを言っただけ。

以前 読んだファンタジー小説に妖精の娘は預言者を尊敬していると書いてあったからだ。

それならば この巨大妖精娘も預言者に敬意をはらうと思ったのだ。


妖精娘は笑う こんな男が預言者の筈はない。

でも まぁいい 小人の戯言(ざれごと)につきあってやろう。

巨大妖精娘は小さな男に言う。

「面白い あなたが預言者ならば預言をしてみなさい。
予言が当たったら あなたを生かしておいてあげるわ。
でも もし預言ができなかったら すぐに踏み潰すわよ」

男は叫ぶ。 「巨大な娘よ 約束は守るのだな!」

彼女は返事をする。 「巨大妖精の名誉にかけて約束は守るわ」

男は言う。 「では預言をしよう お前は私を踏み潰すだろう」



その言葉を聞いた妖精娘は男を踏み潰すのをやめ しばらく考える。

そう・・・見事に予言が当たったのだから。



妖精娘は消えた そして二度とその町に来ることはなかった。

約束を守る・・・というか 意外と素直な性格の巨大娘だったらしい。

町の人々は男の勇気と知恵を褒めたたえた。

その町の中央公園には 今もその男の銅像がたっているという。




<私は預言者だ> 終わり




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