| 誰から踏み潰してあげようか? 地面を見る。
 こんなに大きくなったにも関わらず、私の目は地面の小人達の顔をはっきりと識別できた。
 
 逃げ惑う、ちっぽけな群集。
 
 その中で一人の少年の姿を見とめた。 私は驚く。
 
 間違えるものか、滝本良樹(たきもと よしき)君! 私が教師をやっている高校の生徒。
 
 特にこの子は可愛くて、気に入っている。
 
 機会があれば女教師の私が「家庭訪問」だと言って彼の家に押しかけ、サキュバスの超能力で悩殺し、若い性の全てを吸い取ってやろうと思っている教え子なのです。
 
 滝本君は呆然と私を見上げている。
 
 私が巨大化した時に地下街を踏み抜いていたらしく、突然、地面がへこみ雑居ビルが傾く。
 
 そのまま滝本君の上にビルが崩れ落ちそうになる。
 
 「危ない!!」 私は叫ぶ。
 
 無意識のうちに巨大化超能力を使う。
 
 次の瞬間、私が予想していなかったコトが起こった。
 
 滝本君が大きくなっていく。
 
 服を破り、どんどん巨大化していく高校生の少年。
 
 もう「こびと」ではない。
 
 マリアとほとんど同じ大きさの「巨人高校生」が、そこに聳え立っていた。
 
 
 (続く)
 
 
 
 
 
 
 
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