《 それぞれの立場 》 
  
  ----------------------------------
  
   12人の男達が一緒に電車で旅行していた。 
  
   ファンタジー作家、物理学者、詩人、科学者、商売人、SF小説家、現実主義者、 
  気象学者、歴史学者、数学者、哲学者、酔っ払いの男である。
  
   国境を越え他国に入った。すると、窓から草原が見え、農家の横に一人の女性の姿が見えた。
  
  驚いた事に、家の大きさから判断すると彼女は身長7mもありそうだ。
  
   ちゃんと動いているので彼女は本物の女性としか思えない。
  
  
  
  
  
  ファンタジー作家:「この国の女性はみんな大きいのですね、なんとロマンチックな」
  
  物理学者:「全員ではない、巨大な女性が1人だけいるということしか目撃できていない」 
  
  詩人:「私は彼女のために詩をつくろう」
  
  科学者:「極めて鮮明な立体映像投影機が完成したと考えるのが妥当です」
  
  商売人:「いずれにしろ金儲けのネタになりそうだな」
  
  SF小説家:「断言しよう、彼女は宇宙から来たのです」
  
  現実主義者:「あれは蜃気楼ですよ。あんな大きな女性などいません」
  
  気象学者:「蜃気楼が、砂漠や海岸でないこの場所で起こるとは考えにくいのだが」
  
  歴史学者:「少なくとも人類の歴史で、あのように大きな女性が存在したという記録はない」
  
  数学者:「待て、遠距離で他に対比物がない。女性が普通サイズで家が小さいという可能性もある」
  
  哲学者:「我々が見ているのは本当に人間の女性なのか、我々がここにいることさえ夢のようなのに」
  
  酔っ払い:「なんだ、昼間から酒を飲んで幻覚を見ているのは俺だけじゃないのか」 
  
  
  
  
  
   (それぞれの立場 終わり)