《 それぞれの立場 》 

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 12人の男達が一緒に電車で旅行していた。

 ファンタジー作家、物理学者、詩人、科学者、商売人、SF小説家、現実主義者、
気象学者、歴史学者、数学者、哲学者、酔っ払いの男である。

 国境を越え他国に入った。すると、窓から草原が見え、農家の横に一人の女性の姿が見えた。

驚いた事に、家の大きさから判断すると彼女は身長7mもありそうだ。

 ちゃんと動いているので彼女は本物の女性としか思えない。





ファンタジー作家:「この国の女性はみんな大きいのですね、なんとロマンチックな」

物理学者:「全員ではない、巨大な女性が1人だけいるということしか目撃できていない」

詩人:「私は彼女のために詩をつくろう」

科学者:「極めて鮮明な立体映像投影機が完成したと考えるのが妥当です」

商売人:「いずれにしろ金儲けのネタになりそうだな」

SF小説家:「断言しよう、彼女は宇宙から来たのです」

現実主義者:「あれは蜃気楼ですよ。あんな大きな女性などいません」

気象学者:「蜃気楼が、砂漠や海岸でないこの場所で起こるとは考えにくいのだが」

歴史学者:「少なくとも人類の歴史で、あのように大きな女性が存在したという記録はない」

数学者:「待て、遠距離で他に対比物がない。女性が普通サイズで家が小さいという可能性もある」

哲学者:「我々が見ているのは本当に人間の女性なのか、我々がここにいることさえ夢のようなのに」

酔っ払い:「なんだ、昼間から酒を飲んで幻覚を見ているのは俺だけじゃないのか」





 (それぞれの立場 終わり)


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