《 人類の起源 》 第三話

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 巨人の娘は呆然としていた。ようやくディアールナも事態を正確に把握していた。なんと言うコトなのか、小さ過ぎる、あまりにも小さい!彼女の身長の二千分の一サイズの男達・・・これでは恋人を探す事など不可能だった。

 彼女の来訪の目的は・・・地球の男性とセックスをして自分の子供を生むためだった。400万光年の彼方から、はるばる地球へとやって来た。それがこのザマであった。

 そう、テレビ画像を見ただけだったので、地球人が自分と同じ姿をしていると分かったのだが、対比物が無いため彼らのサイズまで分からなかったのだ。地球の男達は・・・あまりにも小さすぎた。


 いったい、何をやっているの・・・私ったら。 逞しい恋人を作る夢も、救世主になる夢も、これでパーである。呆然としていた。こんなコトなら地球のテレビ画像を専門家に見てもらうのだった。しかし手柄を独り占めしたい彼女は誰にも地球の話をしなかった。

 宇宙船を買うのに多額の借金をしてしまった。彼女の星に金持ちの男でもいたらディアールナの美貌でたらしこんで金を巻き上げるくらい簡単だろう。しかし星にはもう男がいない。このままでは一生借金地獄である。


 ふと気がつく。焼けつくような視線を感じる。地上からだ。都市という名前の地面を見下ろす。戦闘種族の彼女の視力は優れていて、小さな地球人の姿や表情までもはっきりと見えた。

 大都市はパニックを起こしている。突然現われた宇宙人女の巨体による恐怖のためだ。 しかしその混乱の中で、地球の多くの男達が逃げもせずに彼女を見上げていた。自分が巨人女に踏み潰されるかもしれないのに恐ろしくないのだろうか・・・。

 「まぁ・・・私は美人だから、オトコ共が注目するのは当然ね」 ディアールナやけくそで呟く。

 だいたい何なのよ! この虫けらどもは、彼女の二千分の一というサイズのくせに、しょうもないテレビ番組を宇宙に流し、かっては宇宙を支配しようとまでした戦闘種族である私をこの辺境惑星まで呼びつけるとは・・・。

 しかも彼女は地球人の逞しい男に媚を売るために「テレビ映画」を分析し、彼らが好きそうな水着のビキニとやらをわざわざ造って身に着けてきたのだ。  そしてオトコを悩殺して恋人となりセックスして子種をもらうつもりだった。あ、あ、アホらしくて涙が出る。


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