《 釣り師・ゾルバの旅 》 恐怖の異次元トンネルの巻
  
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   よっこらしょ、と。 さぁ、わしの可愛いペリカン達よ、
  
   今日は大きな魚をいっぱい釣って、たらふく食わせてやるからな。
  
   しばらくそこで、待っておれ。
  
  
  
   しかしなー、魚が釣れるまで少し時間があるじゃろう。
  
   退屈だから、わしの思い出話でも聞かせてやろうかい。
  
   わしが25歳くらいだった時のコトじゃ。
  あの頃のわしは、自分で言うのも何じゃがイケメンで女の子達にもモテモテでのー。
  ポルシェに乗ってぶいぶい言わせとったわい。
  
   しかし・・・人生とは恐ろしいモノじゃ。
  ある日、車を走らせとったら「異次元トンネル」に入りこんでしまったのじゃ!!
  
  
  
   突然の非常事態にも、わしは驚かんかった。
  冷静に車のハンドルをきり、別の道路に乗り込んだのじゃ。
  
   しかし、不運は続くもの、逃げた道も「異次元トンネル」につながっていたのじゃ!
  うむ、お前達も知っているように、このわしは天才で運動神経も優れておる。
  じゃが、さすがに二重の「異次元トンネル」からは逃げられんかった。
  
  
  
   わしは「異次元トンネル」に飲み込まれた。 そして「巨人の惑星」にたどり着いたのじゃな。
  
   とんでもなく巨大な女の子が、わしを見つめておった。
  
   驚くことに、彼女は身長50mもあったんじゃ!
  いや、彼女の巨大ボディには、さすがのわしも度肝を抜かれたわい。
  
   そう、あの時の恐怖と快感を・・・わしは生涯忘れはせんじゃろうなぁ。
  
  
  
   つまりじゃ、何が言いたいかというと・・・、
  真面目に一生懸命、生きていても、この世には突然の事故が起こることがある。
  
   人はいつでも苦難を乗り越えていかねばならないのじゃ。
  
   そうじゃな、わしの可愛いペリカン達よ、
  
   魚が釣れるまで、まだ時間がありそうだから、 今日は特別に、
  わしが「巨人の惑星」で冒険し、無事に地球へと帰還した786日間の話を聞かせてやろう。
  
   まぁ明日の夕刻までには、第一日目の話が終わるじゃろうて。
  
   これはめったに聞かせぬ話ゆえ、心して聞いてくれい。
  
  
  
  ペリカンA 「おっちゃーん、エサ、マダー」
  
  ペリカンB 「ハラ、ヘッター シヌゥー」
  
  ペリカンA 「おっちゃーん、今日モ、サカナ釣レナイー」
  
  ペリカンB 「モウ諦メテ、魚屋サンに行コウー」
  
  
   あ、こら、お前ら、人の話を聞いとらんな。
  
   あ〜待っておれ、今、魚をいっぱい釣って、たらふく食わせてやるから。
  
  
   (おわり)